TFCC損傷という症状をご存知ですか?
Q:TFCC損傷になりサポーターをつけて負担がかからないようにしていますが、3か月経っても痛みが治りません。このまま治らないのでしょうか?
TFCC損傷には、軽症のものと難治性のものに分かれます。
軽症のTFCC損傷は、安静やサポーターの着用などの一般的な治療で改善しますが、一部の人(20-30%)は難治性のTFCC損傷となります。難治性のTFCC損傷の場合は、安静や装具などの治療のみでは改善しません。
TFCC損傷で痛みが治りにくい場合は、MRIの脂肪抑制T 2という画像で痛みの部分が高信号となっていることが多いです。この検査で高信号は強い炎症が起きていることを表しています。
強い炎症が起きている場合は前述したように異常な血管が多数できており、血管と神経が一緒になって増えますので、治りにくい痛みの原因となってしまっています。このような場合は安静にしているだけでは改善しないことも多いです。異常な血管を標的とした適切な治療をすることで改善させることができます。詳しくはこのページの最後の方も参考にしてみてください。
Q:TFCC損傷に有効なストレッチやマッサージ、セルフケアはありますか?
手関節小指側へのストレスを軽減するためにストレッチやマッサージなどが有効です。
肘から手にかけての前腕の筋肉を全体的にマッサージし、柔軟性を保持することで手関節へのストレスを軽減します。ポイントはあまり強く押しすぎないことです。筋肉を揉むだけではなく、筋肉をつまんで揺らします。そうすると、骨の上で筋肉が滑らかに動くようになるので、筋力の発揮がしやすくなります。痛みのあるポイントはあまり揉まないでください。
手のひらのマッサージも有効です。親指の付け根から手のひらの中央にかけて全体的にマッサージをします。手のひらの筋肉の柔軟性を保持することで手関節へのストレスを軽減することができます。
Q:TFCC損傷に有効なテーピングやサポーターはあるのでしょうか?
手首が動かないように固定するテーピングやサポーターが有効です。
特に小指側に曲げると痛みが出やすいので、その動きが出ないように固定します。
また、手首の不安定さがあると手首に過度なストレスがかかる可能性があるため、手首のしわより少し肘側の位置で腕を一周するようにテーピングを巻きます。すると、前腕(肘から手関節まで)の安定性が高くなり、手関節へのストレスを軽減することができます。専門の医療機関で指導を受けてください。
Q:TFCC損傷がなかなか治らないです。手術を勧められています。ただ手術をした場合4週間ギブス固定ということでためらっています。手術以外の方法はありませんか?
確かにTFCC損傷に対して関節鏡を使った手術療法がありますが、一般的に4週間のギブス固定と3-4か月は強い負担は避ける形となります。また、1度で改善せず、2回3回と手術を受ける人もいます。このため、なるべく手術は避けたい、他の方法を試したいという方は多くいらっしゃいます。
手術以外の治療方法として、痛みの部位にできた異常な血管を減らすための「運動器カテーテル治療」という治療法があります。前述したように、治りにくい痛みの部位には普通では見られないような異常な血管が増えていて、神経も一緒になって増えることで痛みの原因となっています。カテーテル治療はこの病変を改善させるための方法です。
[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療]
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