あの五輪を逃したから変われた 佐藤優香(トライアスロン)

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あの五輪を逃したから変われた 佐藤優香(トライアスロン)

佐藤優香


ジュニア、ユース時代から世界のトップで活躍してきた佐藤優香選手(所属:トーシンパートナーズ、NTT東日本・NTT西日本、チームケンズ)。2010年にシンガポールで行われた第一回ユースオリンピック大会で金メダル獲得するも、2012年ロンドン五輪出場を逃す。2016年リオデジャネイロ五輪では日本選手最高位の15位に。

また、2013年にアルゼンチン・ブエノスアイレスで行われたIOC総会では、東京五輪招致のプレゼンテーションの舞台に安倍首相、猪瀬都知事(当時)に挟まれ登壇。2020年東京五輪の「招致の舞台」と「本番の舞台」の双方に立つ唯一のアスリート。

トライアスロンは水泳・自転車ロードレース・長距離走(スイム・バイク・ラン)の3種目を一人で連続して行い争う耐久競技。心と体のモチベーションやコンディションについて語ってもらいました。

ポイントは、
●ロンドン五輪を逃して意識が変わった。
●集中しているときは周りの景色がモノクロ。だからカラーに見えてくると・・・。
●レースの日は必ず朝にカレー。エネルギー切れがなくなった。
●モチベーションの源は東京オリンピック、レースと順位。
●体重コントロールに気を遣う。体脂肪がスイムとランで・・・。
●夢を確実に掴むためのことを考え、妥協せずに優先順位をつける。

あの悔しさがあったから リオへ行けた

― 18歳のとき、ユースオリンピックでいきなり世界の頂点に。しかし、その後はロンドン五輪出場を逃すなど、もどかしい状態が続きました。そのときのモチベーションはどうだったのですか?

他の選手がどんどん上がってきて、自分は全然結果を出せない。ロンドンにも行けず、本当に悔しかった。今思えば、あの時が気持ち的に一番きつかったですね。

でも、あの悔しさがなかったらリオに行けなかったと思います。すごく苦しかったんですけど、あの時に苦しい思いをしてよかったんだな、と今は思うんです。

佐藤優香

― ロンドン五輪を逃して何が変わったのですか?

意識が変わったんです。練習の向き合い方。それまでは練習するのも嫌いだったんです。悔しい経験をして、「この苦しい練習をしないと自分は強くなれない」と思うようになりました。それが大きく変わったところですね。

無くなった気持ちの波

― 競技で勝つため、心と体のモチベーションを上げるために日々心掛けていることはありますか?

以前までは気持ちの波がありました。「今日は気分も調子もいいな」というときは練習も頑張れますし、逆に気分が乗らないときは、本当に暗い感じになってしまっていたんです。
今は波がなく安定しています。後輩が増え、自分も気持ちが上がって毎日が楽しいんです。後輩に支えられて、毎日楽しく練習もできていると思います。

佐藤優香

― 以前は自分だけの話だったのが、後輩たちという外的要因も入ってきたということですか?

そうですね。引っ張っていかなければいけない立場なので、自分が元気でないといけない。それを考えたら暗くなっていてはダメだなと思うようになりました。

集中しているときは、周りの景色がモノクロ

― レースが始まるとき 、レース中は何を考えてメンタルを維持しているのですか?

 レース中は「無」なんですよね。 無我夢中で、前を追う気持ちしかないです。とにかく我慢、 他のことは考えない。前の景色を追っていま
す。

― 集中力が切れるときはないですか?

ありますね。ランはいつも4周回なんですけど、ラスト2周でハンガーノック(長時間の運動中、急に力が入らなくなり、動けなくなる現象)になってしまうと集中力が切れてしまいます。

集中しているときは、周りの景色がモノクロなんですよ。応援してくださる方の声だけが頭に入ってきて、観客の方に目をやる余裕もないんです。でも、集中力が切れてしまうと、周りの景色が見えてカラーになってしまう。それは、自分の集中力が切れたというサインなんです(苦笑)。

佐藤優香

― ハンガーノックにならないために何をしていますか?

以前よりもボトル(水分やエネルギードリンクの補給)はしっかり取るようにして、レースの日は必ず朝にカレーを食べます。カレーを食べると、エネルギー切れがなくなりました。

― レースの始まる何時間前に食べるのですか?

4時間前です。起きる時間がレースの4時間前だからです。レトルトで売っているものを、おにぎりと組み合わせて食べます。

より本気で夢をつかみにいくために優先順位を決める

― 体でも心でも、他に試合前の整え方はあるのですか?

とにかく体を疲れさせない。体の声を聞きながら、レースの日に最大のパフォーマンスを発揮できるようにします。少しでも疲れたという感覚があったら、そこで終わらせるというのは気にしていますね。調整も追い込まずに短時間で終わらせます。

― 睡眠は何時間ですか?

8時間です。試合前はだいたい緊張して眠れないんですけど。

佐藤優香

中央が佐藤優香選手

― 今のモチベーションは、やはり東京オリンピックですよね。日々のモチベーションは何ですか?

東京オリンピックはもちろんなんですけど、「次のレースは何位以内に入る」ということを考えてモチベーションを高めています。短期的には、その日その日の練習を一生懸命やる、その日その日の目標、課題を一つ一つクリアしていく、というのがモチベーションです。

体重のバランス・コントロールは本当に難しい

― 今は2020年東京五輪に向け体で気をつけているのは何ですか?

体重ですね。 体重が上がらないように。体重が上がると、体に負担がかかってケガをしやすくなるんです。だから、コントロールはいつもしていますね。体脂肪があるとスイムではいいんですけど、今度はランでタイムが出なくなります。本当に難しいところなので、体重はバランスですね。

― 2012年から2016年までの心の持ちよう、そして今はどうなのですか?

ロンドンに向かっているときは、「出場したいな~」という気持ちだったんです。でも、ロンドンオリンピックに出場できなくて、「次のリオには出場しなければいけない」と、リオに対する気持ちが大きくなりました。

(飯島健二郎)監督と二人三脚でやってきて、監督のためにも、自分のためにも、リオは絶対に通過しなければいけないと。そのモチベーションがあって4年間、リオに向かって行けたというのがあるんです。
その4年間で一番は競技者としてオリンピックを目指す選手として、本物になれたんじゃないかなと思います。

意識の持ち方だったり、練習の取り組み方、向き合い方ですね。本気といった方がいいんですけど、より本気になって夢を確実につかむためのことを考えられるようになりました。

あとは妥協しなくなりましたね。練習も普段も。上に行くために「これは今やらなければダメだ」と、優先順位をつけられるようになりました。

― とはいえ365日それではパンクしてしまいます。どのようにリラックスするのですか?

練習が休みの日も、トライアスロンのことを考えてしまうことが多いんです。だから、外に出歩かない。部屋の中で寝ていたり、携帯をやったり。できるかぎり競技のことは考えないようにしてリラックスしています。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

佐藤優香(さとう・ゆか)

リオ五輪代表、所属:トーシンパートナーズ、NTT東日本・NTT西日本、チームケンズ
1992年1月18日 千葉県佐倉市出身
日本橋女学館高校時代から日本ジュニアトライアスロン選手権など、数々の大会で優勝を果たす。
2010年にシンガポールで開催されたユースオリンピックで優勝し、記念すべき金メダル第1号となる。2012年ロンドン五輪は出場を逃したが、2016年リオデジャネイロ五輪では日本選手最高位の15位に入る。

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