中国のアフターコロナにおける中小ベンチャー企業の商品展開【その2】
要するに技術の優位性がある前提においては、日本の中小ベンチャー化粧品企業は、中国側マーケッターとの出会いが一番重要である。
そして次に重要なのは忍耐力だ。日本と中国の両方の成分等のレギュレーションをクリアにしつつ、審査も通さなければならない。商標も必須だ。
中国側マーケッターのペースに引きずられる要素も高く、いらいらもするし、不信にもなれば、残念ながら別れもあるのが現実だ。
これは明らかに「売る」ためというよりも「産む」ためというのが適切だろう。忍耐が重要。
ようやく難産の末、そこからようやく販売と言う「育てる」過程に入る。
そこで結果を出す努力をしつつ、次の商品の企画・開発・審査も進めて行く。このサイクルが回り始めると、売上と利益がストック型で積み重なるようになってくる。単発ではなく。
努力の甲斐があって、日本よりも中国での売上利益が大きくなっていく。
これが中小ベンチャーにおける、筆者が実際に見てきた中長期的に成長する事業化である。
こうして中国市場で成長した結果、「中国内での再投資」「日本への収益吸い上げ」「ブランド管理強化」という目的で、中国法人を設立することにも繋がる。もちろん企業体力によっては、小規模でも最初から中国法人を持っていた方が良いケースもある。
近年は、越境ECと言われる成分検査(中国NMPA等)や商標が未取得でも中国に販売できるスキームも盛んである。確かに画期的である。
ただし、使い方を誤ると大火傷を負うだろう。大手ブランドとのプロモーション競争の体力勝負は致命的だ。
本来の中国市場で必要な、成分検査等の許認可取得の費用と期間超えて越境ECに傾倒して無駄に費やしている日本企業も多い。実に中小ベンチャー企業ほど。
次回、冒頭で触れた通り、日本の大手企業が陥りやすい中国での失敗を取り上げたい。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
山本 岳志(やまもと・たけし)
SRBTechコンサルティング株式会社 取締役副社長 パートナー
一般社団法人亜洲一帯一路国際開発協会 総監
中国ビジネスに2001年から携わり、進出する側の経験も、今ではそれを支援する側の立場としても見識を積む。
新卒としてバンダイグループ企業(株式会社バンプレスト)にて、ゲーム開発の専門職として経験を積み、その後入社したモバイルコンテンツ企業(株式会社インデックス)では、ディレクターから部門長、制作子会社の代表取締役と中国子会社の董事副総理も兼務し、日中でのマネージメントを経験。
その経験を活かしてウェブマーケティング企業(株式会社アイ・エム・ジェイ)へ移り、経営企画職にて中国企業のM&Aに携わり、現在は中国に進出する企業の総合実務支援を行う現職にて、取締役副社長パートナーとして、業界問わずコンサルティングに従事。