家族だけでは限界…介護は重要な社会参画活動
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介護は「迷惑を掛ける」のでなく、「受ける権利」がある
東葛クリニック病院副院長の秋山と申します。専門は消化器外科です。今回は「介護を受けることは人の役に立つこと」について綴らせて頂きます。
皆さんは健康の定義をどのように考えるでしょうか。私は「人の役に立つこと」だと考えます。定年退職した方が暇を持て余し、家に引きこもってしまう話をよく耳にします。社会参画の機会を増やすためにも。このような方たちが介護に携わることは非常に重要だと思います。家族がつきっきりで看る環境では介護する方が疲弊しきってしまいます。これからは医療・介護費の負担の比重が国から各自治体へ移行していきます。民間業者と一緒に介護をサポートしていく「地域包括ケア」を推し進めていかなければなりません。
介護を受ける方の中には「迷惑をかける」と考える人もいるかもしれませんが、決してそうではありません。介護は「受ける権利」があるのです。超高齢者社会で60、70歳の方が90歳以上の高齢者の介護をすることは珍しくありません。自分のためだけでなく、介護を受けることで社会参画活動を行う後輩の役に立っているのです。介護する方も「人の役に立っている」と実感して活動することは大きな生きがいになります。これからは介護の世界で外国人労働者もどんどん入ってくるでしょう。
介護を受ける方が年々増える中で、町全体が健康であるための役割分担が問われてきます。家族だけで介護していては日本社会が回らなくなります。定年退職した方たちが介護に積極的に携わることが可能な環境作りが重要になってくると思います。
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※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]
秋山 和宏(あきやま・かずひろ)
医療法人財団松圓会 東葛クリニック病院 副院長・消化器外科部長
一般社団法人 「チーム医療フォーラム」 代表理事、多摩大学大学院 医療・介護ソリューション 研究所フェロー
<経歴>
90年 防衛医科大学校卒業
東京女子医大消化器病センター外科勤務
99年 東葛クリニック病院(千葉県松戸市)外科勤務
07年 多摩大学大学院経営情報学研究科卒業
09年 現職
医学博士、MBA(経営学修士)、社会起業家
元日本外科学会専門医、元日本消化器外科学会専門医、
日本静脈経腸栄養学会学術評議員・代議員、日本褥瘡学会評議員
日本ウオーキング協会 ヘルスウオーキング指導士
<専門分野>
チーム医療、NST(栄養サポートチーム)、褥瘡
<著書>
「医療システムのモジュール化―アーキテクチャの発想による地域医療再生」(白桃書房)