「男子は厨房に入るべき!?」オトコとビジネスと料理について
料理はビジネスと共通する
料理に求められる能力の一部を抜粋してご紹介しましたが、他にも様々な能力、技能が料理には求められます。
個々の項目を見ていけば分かるように、これらすべての料理に必要な要素はビジネスの現場において非常に役に立つ、また共通する部分が多いのが特長です。
例えば「気遣い」ということであれば。
料理を提供する相手のことを知らなければ、相手の好みや趣向にあった料理を提供することができません。
例えば、きのこが嫌いな子供に「キノコ尽くし」の料理を提供するとどうなるでしょうか?例え、どれだけキノコ料理が美味しかったとしても、一切手を付けてくれないかもしれません。
ビジネスの現場でも、顧客のことを知り、競合他社のことを知り、自社の商品、サービスについて知ることの重要性は誰もが認識しています。
相手を気遣い、喜ばせることで多くのビジネスは成立しています。
「料理」という言葉だけのイメージでは、「食材を調理して提供する行為」というだけのイメージかもしれません。
しかし実際には、多種多様な能力を必要としているのです。
料理は日常における学びの場
日常生活において最も多くを学ぶことができるのが「料理」です。
掃除、洗濯、子育て、家族との会話。それぞれに非常に重要な役割を担っていますが、料理から得られる学びは群を抜いています。
学び① 金銭感覚、市場の動向を学ぶ
自宅に食材が無ければ買い出しに行かなければなりません。
自宅に有るもの無いもの(在庫状況)を把握し、お店に買い物へでかけます。
お店で売られている商品には「価格」が付いています。価格は店舗によっても異なります。今、野菜の値段が高いのか安いのか。
日用品の価格はどうか?といった価格動向から、日本の経済がインフレかデフレかというトレンドを現場感覚から掴めます。
さらにお店の雰囲気、催事、PRしている商品等から季節感、流行、市場の動向を知ることができます。
また、家庭の経済状況から買うべき食材の価格設定を考えなければなりません。
学び② 時間管理を学ぶ
夕飯を作るのであれば、開始時刻が18時からか、20時からの夕飯なのかで目標タイムが設定されます。
料理をする献立の内容によってタイムスケジュールは大きく異なります。
・単品なのか、複数の料理を作るのか?
・ガスコンロは1つなのか、3つなのか?
・1つの料理にかかる時間の目安はどれくらいか?
・下拵えが必要なのか?
目標設定とした時間までに予定をしていた献立をベストなタイミングで完成させ、提供することができるのか。計画を立てる必要があります。
学び③ マルチタスクを実行する
料理が1品だけ。ということは少ないと思います。
日本の家庭では多くの場合2品以上の料理を提供されていることでしょう。
例えば、白ごはん、味噌汁、卵焼き。という献立であれば。
ご飯を炊き始めるタイミング、味噌汁の具材を投入するタイミング、卵焼きを焼き始めるタイミング。それぞれが、提供時間という目標に対してベストなタイミングで始める必要があります。
卵焼きを先に焼いてしまっては、冷めた卵焼きを出すことになります。味噌汁の具材を早く投入し過ぎて、具材が煮込まれ過ぎて本来の美味しさを楽しめなくなる。ということが起こります。
学び④ 被提供者の価値感を知る
料理を食べてくれる人が、どのような食材、調理法、提供の仕方をすれば喜んで食べてくれるのかを知ることが重要です。
体調が悪いのであれば、柔らかめの料理が喜ばれるかもしれません。
高血圧を気にしている人なら、薄めの味付けが喜ばれるかもしれません。
嫌いな食材があれば、食材が気にならないような調理法がいいかもしれません。
提供する相手にとって喜びとなるポイントを把握し、提供することが重要です。
学び⑤ すべてを終わらせる
料理で非常に重要なのは「きちんと終わらせる」ことです。
夫が料理をすることで、妻が最も嫌うのは「料理の前後で台所の状態が大きく変わってしまう」ことではないでしょうか?
料理を提供することによって、食材が減り(在庫が減り)、相手の胃袋(満足度)は変化しますが、台所は変化する必要はありません。
最も良くないのは、料理が終わった後で台所の状態が悪くなっていることです。
ビジネスでも、部下が顧客との取引の結果、関係性が悪くなって後のフォローに回らなければならない。というようなことがあれば、その部下に仕事を任せるのが恐くなったり、部下の評価が下がるということはないでしょうか?
料理を始めると、もしかすると楽しくなって夢中になってしまうかもしれませんが、いつでも冷静に、最後をイメージして取り組むことが重要です。
料理における『最後』とは「片付け」です。
オトコに料理をおススメしたい理由
今までは、料理をすることで様々な能力が身につくという視点からお伝えしてきました。
さらにもう一つ、男性としての利点をご紹介します。
わたしは日常的に家庭内で料理をする方だと思います。女性のお客様が自宅に遊びに来て料理をすると非常に驚かれ、喜んでもらえます。
また、外での会話で「家で料理をしますよ」なんてことを言うと、驚かれ「奥様いいですね~」と言われてしまいます。
わたしの家庭では日常的な光景ですが、日本社会という枠組みにおいてはまだまだ非日常な光景なのかもしれません。
そういった意味では、男性がこれから料理を始めることはおススメです。
プロの料理人のような料理、多種多様な献立、手の込んだ料理は必要ありません。
まずは、手軽で簡単に、美味しいものをストレス無く提供することができるようになれば、男性として、夫として、周囲からの価値がワンランクアップするかもしれません。