SNSでの「いいね!」忖度。職場のノーレスに「あれ?」
ウソでも「いいね!」という忖度。職場のノーレスに「あれ?」
忖度というと政治家や権力者に対するオトナの配慮といったイメージがあるかもしれません。でも実は、若者も忖度しまくっています。
みなさんもニュースなどで、タレントや企業のSNSが「炎上」している様子を見たことがあると思います。一度炎上してしまった投稿は、削除したところですでに手遅れ。写真のコピーや投稿画面のキャプチャ画像があっという間に増殖して、ネット上では半永久的に晒され続けることになるのです。消したくても消せない過去の汚点。これを「黒歴史」や「デジタルタトゥー」というそうです。
若者たちは、SNSのこうした「常に誰かに見られているリスク」を念頭に置いてコミュニケーションをとる習性が身についています。
インタビューした大学3年生の女子(21歳)は、こんなことを言っていました。
「バイトでどうしてもシフトに入れないことがあったんです。あるイベントに遊びにいく予定があったのでシフトを外していただけなんですけど。でも、そのイベントの写真がSNSでお店の人に見られちゃって、会ったときにすごい嫌な顔をされたんですよ」
怖いですよね。「こんな投稿をしたら、どんなふうに思われるか」「批判を浴びることにならないか」「友達に嫌がられないか」などと、いつも神経をすり減らしながら投稿しているわけです。
このSNS的な忖度の流れには、とりあえずの「いいね!」もあります。
「今日、23歳のバースデイ! 仲間にお祝いしてもらいました!」
「1週間、お休みもらってスペインに行ってきた! ガウディ最高!」
そんな友達の投稿に、無心で「いいね!」を押す。それがSNSの世界では当たり前の習慣です。SNSに慣れ親しんだ若者にとっては、この習慣は顕著です。自分が何か投稿すれば、どんなささいな内容でも何件かレスポンスがあるというのが普通。逆にレスポンスがなかったりしたら、彼らは言い知れぬ不安に襲われます。何かおかしな投稿をした? まわりに変なふうに思われてない? そんな気持ちが増幅していきます。だからこそ友達の投稿にほぼ自動的に「いいね!」を押すのです。
「いいね!」を押し合うのは、言ってみれば礼儀作法。こうして「いいね!」社交界が形成され、友達に忖度した「いいね!」が激増、結果「いいね!」がばらまかれます。もはや若者が押す「いいね!」は、「見たよ!」というサイン程度のものです。
そして若者たちは、リアルにも同様の感性を持ち込みます。だから、なにかにつけ「いいね!」がデフォルトなのです。
例えば「店長、あれやっときました!」などと報告があったとき、目も見ないで「ああ」とか、素っ気ない返事をしていると、確実に「あれ?」と思われてしまいます。「いいね!」どころかレスポンスが薄い……。自分が何かおかしなことをしたのではないかと不安になるのです。
[文:ツナグ働き方研究所]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
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平賀充記(ひらが・あつのり)
ツナグ働き方研究所 所長
1988年リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。「FromA」「FromA_NAVI」「タウンワーク」「とらばーゆ」「ガテン」などリクルートの主要求人媒体の全国統括編集長を歴任。 2014年株式会社ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任。2019年よりツナググループ・ホールディングス エグゼクティブフェロー就任。著書に『非正規って言うな!』『サービス業の正しい働き方改革・アルバイトが辞めない職場の作り方』(クロスメディアマーケティング)、『パート・アルバイトの応募が殺到!神採用メソッド』(かんき出版)、『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)。