「忖度ジャパン」の快進撃 日本代表は逆境に強い
ネット上では「本田さんごめんなさい」「西野監督ごめんなさい」と「謝罪」のコメントが殺到
[写真:益田祐一]
戦前の悲観論を完全に吹き飛ばす快進撃だ。ロシアで開催されているW杯で日本代表が初戦・コロンビア戦を2-1で撃破すると、2戦目・セネガル戦も2度のリードを許したが途中出場のMF本田圭佑が同点弾をぶち込み、2-2のドローに持ち込んで勝ち点1を積み上げた。
世界中を驚かせた。日本国民が一番驚いたかもしれない。本番2か月前に日本サッカー協会がハリルホジッチ前監督を電撃解任し、西野朗監督の新体制では今季ポルトガルリーグのポルティモネンセで10ゴール12アシストの好成績をマークしたMF中島翔哉が落選。代表選考に批判が集中し、「忖度ジャパン」と皮肉られた。W杯直前のテストマッチではウクライナ、ガーナ、スイスに3連敗。最後のパラグアイには4-2で逆転勝利を飾ったが、日本国内でもW杯で予選突破を予想する声は少なかった。それが蓋を開けてみると、1勝1分けで3戦目・ポーランド戦にドロー以上で決勝トーナメント進出の奮闘ぶり。ネット上では「本田さんごめんなさい」「西野監督ごめんなさい」と「謝罪」のコメントにあふれた。
だが、過去の日本代表の戦いぶりを紐解くと、下馬評が低い時の方が力を発揮する。西野朗監督が率いた96年のアトランタ五輪では圧倒的不利の予想だったブラジルに1-0の大金星。10年の南アフリカW杯も同様だった。2月の東アジアカップ選手権で韓国に1-3で敗れるなど不安定な戦いぶりに、本番前に当時の岡田武史監督の解任論まで飛び出した。前線からボールを奪い、攻撃に転じるサッカーから「堅守速攻」のスタイルに変更。絶対的司令塔だったMF中村俊輔を外し、本田を攻撃の中心に据えると、GKも経験豊富な楢崎正剛に代わり、川島永嗣を抜擢。右サイドバックのレギュラーだったDF内田篤人も外す大胆なテコ入れを図った。結果はカメルーン、デンマークを破り決勝トーナメント進出。低評価だった戦前の予想を覆した。対照的に、06年ドイツW杯、14年ブラジルW杯は前評判が高かったにもかかわらず、予選敗退している。
日本国内はお祭り騒ぎだが、戦う選手たちは冷静だ。本田が「次の試合(ポーランド戦)は負ければ敗退が決まるかもしれない大事な試合になるので、しっかり準備していきたい」と表情を引き締め、得点源のFW大迫勇也も「すごくサポーターの皆さんの声援というのは力になりますし、最終戦僕らは全力を尽くして突破するように頑張るので応援よろしくお願いします」 と呼び掛けた。決勝トーナメントに進出すれば、1回戦でグループリーグGのベルギー、イングランドのいずれかと対戦する。格上だが、今の日本はジャイアントキリングを起こしても何ら不思議ではない。もう「忖度ジャパン」とは呼ばせない。
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[文/構成:ココカラネクスト編集部]