ちょっと曖昧な「モチベーション」を【見える化】!後編~組織のモチベーションエンジニアリング~
異動や昇進、配置換え、新人が入ってきたり別れがあったり、ストレス度合いが高まる中で、良いパフォーマンスを上げたい、円滑になりたい、と打開したい課題やテーマをお持ちの人がこの時期一気に増えるのではないでしょうか?モチベーションややる気についてのヒントを社名にまでしてるリンクアンドモチベーションの川村 宜主さんにお聞きしました。
今回は、仕事をするうえで必要となってくる 組織における、【モチベーション】についても【公式】としてとらえてみましょう。
それぞれの企業ごとに魅力をアピールできる「意味報酬」は、社員のモチベーションを上げる一つのポイントです。
◇組織におけるモチベーションとは?
組織におけるモチベーションとは、エンゲージメント(企業と従業員の相思相愛度合い)とほぼ同義です。エンゲージメント向上には、従業員が期待していることと、満足していることを把握することが重要です。そして、期待していることの満足度をあげていくようにアプローチします。
◇相思相愛になれるようにすべきこととは?
まずは採用の入口の段階で会社が重要視していることを伝えなければなりません。例えば当社では、採用時に自社の理念や大切にしていること(philosophy)をしっかり説明しています。そのように、会社が何に期待してほしいのかを応募者に伝え、それに合った人材をとることが重要です。会社に入ってからは、コミュニケーションが大事です。人間の身体は血流が悪くなると体調が悪くなったり肩が凝ったりするように組織で言う血流というのが実はコミュニケーションなんです。組織の縦横・内外のコミュニケーションをどれだけサラサラな状態にできるかが大事になってきます。
◇企業が従業員に対してできること
会社の従業員のモチベーションを高めていくためのアプローチの一つに、「意味報酬を提供する」ということがあります。人間は「完全合理的な経済人」ではなく、「限定合理的な感情人」だと思っています。どういうことかというと、「人って感情大事ですよね?」っていうのが言いたいだけなんです。24時間365日、お金の事だけや合理的に全部の物事を判断しているかというとそうではないですよね。やっぱり、感情もすごく大事。会社は、従業員のモチベーションを上げようと思って報酬を与えますが、もしも人間が「完全合理的な経済人」だったらお金の報酬だけで良いはずなんです。けど、実際はそうじゃない。「限定合理的感情人」というのは、「限定合理的」なのでお金も大事ですが、「感情人」という意味では金銭報酬に加えて【意味報酬】というのが大事になってきます。
【意味報酬】というのは例えば、
貢献したいという「貢献欲求」、
認められたいという「承認欲求」、
良いチームや人間関係のところで仕事がしたいという「親和欲求」、
成長したいという「成長欲求」など。
これらは全て感情です。そういう欲求に刺激を与えられるような施策を用意していくというのが会社として個人に対してやれることですね。しかも意味報酬というのは会社の工夫次第でいくらでも作り出せるのでアイデア次第でいろんなことを提供できます。
研修をしている企業は多いと思いますが、本来は「成長欲求」を満たすような観点で研修を用意する必要があるんです。いかに成長できるような環境を整えてあげられるか学べる研修をどこまで用意できるか。ただ単純に研修するのではなくて個々のキャリアを考えて組み立てていく。なので弊社では年に1回は、自分のキャリアについての経営計画書のようなものを書いています。研修では、それに加えて、自分の課題を出しアクションプランを作ることで成長していける環境を整えています。
「承認欲求」はシンプルです。弊社では総会のアワード…表彰制度がそれです。表彰式ではスポットライトを浴びて大勢の前で称えられることで認めてほしいという承認欲求を満たしていく。
ありがとうと言ってもらいたい「貢献欲求」に関しては例えばサンクスカードというものがありまして、ありがとうを伝えたい人へカードに書いて伝えたりしています。
こういう小学校の時にもあったようなベタなものが意外と大事なんです。どうも大人になると、「完全合理的な経済人」に近づいていくような幻想があるんですけど、実はそうではないんですよね。
【 組織のモチべーション 】
従業員 組織
相思相愛
エンゲージメント
4つのP
Privilege
(特権・福利厚生など)
People
(組織風土・どんな人と働けるのか)
Profession
(事業内容・仕事内容)
Philosophy
(理念・哲学)
経営陣は、自分の会社の魅力が特にどこにあるのか一度見直してみて。
◇エンゲージメント…企業と従業員の相思相愛度合いとは
企業と従業員の相思相愛度合い…エンゲージメント度合いが高い状態が企業にとって理想的な状態といえます。そのエンゲージメント度合いが高い状態とは、従業員の<期待度が高い>ものは<満足度が高く>、<期待度が低い>ものは<満足度も低い>という状態のこと。従業員の期待度が高く(または低く)、満足度も高い(低い)領域にある場合は問題ありませんが、<期待度が高い>のに<満足度が低い>あるいはその逆という状態は今後の課題になってきます。これらは弊社のシステムによって簡単に分析し数字化することができます。
■編集部からのお知らせ
3月7日に発売の雑誌「CoCoKARAnext」では読売ジャイアンツ・菅野智之投手のインタビューの他、プロ野球選手に学ぶ仕事術などストレスフルな時期を乗り越える情報を掲載。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
川村 宜主(かわむら・のぶゆき)
2000年リンクアンドモチベーション入社。エントリーマネジメント(企業の採用変革コンサルティング)に10年間携わり、マネジャー・部長などを歴任。グループ会社の設立に携わるなどを経て、現在、グループデザイン室広報・秘書ユニットマネジャー。
株式会社リンクアンドモチベーション
■代表取締役会長:小笹芳央
■資本金:13億8,061万円 / ■本社:東京都中央区 /■創業:2000年
■事業内容: ・モチベーションマネジメント事業( 育成・制度・風土支援)/・エントリーマネジメント事業( 採用・動員支援)/・インキュベーション事業