大阪桐蔭に「野球バカ」はいない 異次元の強さの秘密は「人間力」
大阪桐蔭の選手たちは中学時代からシニアやボーイズリーグで有名な精鋭たちです。全国各地から集まったエリート集団がおごり高ぶらず、謙虚で地に足が着いているのは西谷監督や指導者の教育、先輩から引き継がれている姿勢に影響を受けているという印象を受けます。実はこの「野球バカ」にならないことが簡単なようで非常に難しいのです。甲子園で活躍すれば、メディアで大きく取り上げられて浮ついた気持になりがちです。指導者もその慢心を注意せず、選手も教科書を開かずに授業をまともに受けなくなることが珍しくありません。「野球さえやれば世間が評価してくれる」という考えは非常に危険です。
私はロッテ、ヤクルト、DeNAでコンディショニングをサポートする仕事をしてきましたが、高卒でプロに入団して結果が出せずに退団した選手を何人も見てきました。甲子園で活躍したという自信が過信になり、契約金で大金を手にして野球に対して本気で取り組まなくなり周囲の助言にも耳を貸さなくなってしまうのです。引退後も「甲子園で活躍した」というプライドを捨てきれずに苦しんでいる人間は少なくありません。高校野球はメディアで大きく取り上げられますが、盛り上がりは一過性であることを忘れてはいけません。野球をできる時間は限られています。指導者は高校生の3年間だけでなく、その先を見据えて指導していくことが、本来の野球というスポーツの意味なのだと信じています。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません
[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]
高橋 純一(たかはし・じゅんいち)
MLBサンディエゴパドレスで通訳兼コンディショニング補佐を務めた後、千葉ロッテマリーンズ、ヤクルトスワローズ、DeNAベイスターズファーム等でチーフトレーナーとして活動。17年より独立。幅広いストレングス&コンディショニング領域をアレンジ、シンプル化させ、「俺、最高。」「やってみるをかなえる。」をキーワードに老若男女問わず、自分の肉体の可能性を高め、向上していくサポートを行う。コーポレートコンディショニングという企業のトレーニング意識を変えるコーチングも担う。
J.T. STRENGTH & CONDITIONING コーポレートサイト(http://www.jt-sc.com)