心が軽くなるメンタルケア(第3回)ストレスとの共生

タグ: , 2017/12/11

ストレスとの共生~いつも応答する必要はないから

鳥居京子先生

 前回までのあらすじは、第1回目にストレスとは体、心、に入るすべての刺激であり、これには良いも、悪いもないこと。そして、これをどう受け止めるか(フィルタ)によって幸せは作れるが、どうしても難しいときは、「休息」しかないこと。第2回目は美味しいものや楽しいことが人生を豊かにしてくれるのではなく、これら「休息」によって「しあわせフィルタ」を元気に働かせるから、豊かに感じるということでした。

 今回はストレスの効用をお伝えしようと思います。上の❶と❷が重要なポイントです。

 人がストレスと感じる大部分は「人間関係」と言われています。人間関係を円滑にするコツは相手を変えることはできないから、自分と他者の問題を別けることです。「しょいこまない」ってことですね。もう一つは、どうしても変な人とは付き合わない。しっかりと拒否することです。仕事で関わるとしても、家族になるわけではないため、最小限の関わりにすることです。これだけでも人間関係の悩みは減っていきます。

職場や学校などの場では「人間関係」や「ストレス」はある程度は仕方がない。これは「仕事」だからと納得させられる場面があると思います。当然、職場や学校は効率・労働生産性を求めます。ではある程度の競争、ストレス、能力、規範が本当に効率や労働生産性に繋がるのでしょうか?

 アメリカのグーグル社は米国スタンフォード大学の協力を得て5万1千人の社員を通じた壮大な調査を行いました。チーム・部署の業績向上へは何が原因となっているか調査しました。その結果、最も大切だったことは社員一人ひとりが会社で本来の自分を曝け出すことができること、そして、それを周りの人が咎めることなく受け入れる事でした。

 心理学の専門用語では「心理的安全性(psychological safety)」と呼ばれる安らかな雰囲気をチーム内に育めるかどうかが、成功の鍵なのだといいます。この受容された環境が世界一の会社グーグルの世界一優秀な部署だったのです。これはプロジェクト・アリストテレスと言われ、広く世界に共有されています。


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〔文/構成:ココカラネクスト編集部 〕

鳥居京子(とりい・きょうこ)

鳥居京子(とりい・きょうこ)

日本医科大学精神神経医学教室、研修を経て日本医科大学千葉北総病院、医療法人緑光会東松山病院、埼玉精神神経センター、飯能老年病センター、医療法人松崎病院、医療法人社団碧水会長谷川病院、医療法人壽鶴会東武中央病院などに勤務。

■資格 精神保健指定医/精神科専門医/日本医師会認定産業医

麻布十番メンタルケアクリニックHP http://www.azabu-mentalcare.jp

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