「日韓のぎくしゃく」がスポーツ界に影響した強烈な過去事例、WBC、サッカー五輪…
熱戦が相次ぎ、盛り上がりを見せた今夏の甲子園大会。その余韻も消えぬまま、高校野球ファンにとっては楽しみな大会が開催されています。韓国で行われるU-18ワールドカップです。
「令和の怪物」こと大船渡の佐々木朗希投手や、星稜を準優勝に導き、甲子園の「主役」を務めた奥川恭伸投手らが日本代表メンバーに名を連ねていることからも、注目の今大会。しかし、日本と韓国の関係が悪化する中で、その影響を危惧する声も聞こえてきます。
高校日本代表は8月28日に現地入りしたのですが、安全上の配慮から、選手やスタッフは日の丸や「JAPAN」のロゴがついていないポロシャツを着用しました。高校の代表チームとしては前代未聞の対応です。
高野連関係者は「むやみに日の丸を出すのはやめようと。刺激するのは得策ではない」とコメントしました。これには「日本代表が堂々とできないなんて、そんな国にわざわざ行く必要があるのか」「大人が青少年に『日の丸を隠せ』と指示するとは、絶対におかしい」といった声も挙がっています。
日韓のぎくしゃくした関係が、スポーツ界に暗い影を落とした例はこれまでにもありました。強烈な印象を残した出来事を振り返ってみましょう。
2006年 第1回WBC
伏線は開幕前のイチローの発言にありました。
「向こう30年、日本にはちょっと手を出せないみたいな、そんな感じで勝ちたいなと思ってます」
サービス精神旺盛なイチロー特有の盛り上げコメントだったのでしょうが、そこは韓国選手団に韓国メディア。案の定、過剰に反応し、敵意むき出しで日本戦に臨んできました。
イチローが打席に立つと、韓国応援団からは大ブーイング。闘志全開の韓国ナインは第1ラウンドで日本に競り勝ち、第2ラウンドでも完封勝ち。すると、試合後にはあまりに気分を良くしたのか、韓国の国旗である太極旗をマウンド上に立てるパフォーマンスに打って出るのです。
これにはイチローも思わず放送禁止用語を叫ぶシーンがテレビ放送で流れてしまい、試合後の会見でも「僕の野球人生で最も屈辱的な日」とのコメントを発することになります。
痛快きわまりない韓国国内の世論とは対照的に、日本国内は「品が無さ過ぎる」「民度が低い」「相手に対する敬意をかけらもない」と非難囂々となりました。
そしてイチロー擁する日本代表は、準決勝で韓国に圧勝。キューバとの決勝も制し、世界一に躍り出ます。今、振り返ると「太極旗、マウンド上に突き刺し事件」は、広く世間一般へとWBCへの関心を集める、大きな働きを果たしたといっていいでしょう。