世界王者・八重樫東 減量と女性のダイエットの共通点

2017.07.31

減量はシンプルに摂取と消費のカロリーの足し算と引き算

八重樫東

 音速の拳と呼ばれる男・プロボクサー元世界チャンピオンの八重樫東選手。
そんな八重樫選手が講演で”減量のしくじりエピソード”を語ってくれました。

 主なポイントは、

●落としたい目標体重をしっかりと、スパンを決めてやる。
●まずは食べものを高たんぱく低カロリーに変えて、そして運動。
●摂取カロリーと消費カロリーの差で、足し算・引き算をしっかりと。
●脂肪が10グラム減るのが7.2キロカロリー、計算してやるとちゃんと体重が落ち、健康的。
●試合24時間前に暴飲暴食で10kg近くもUP。動きが悪くなりKO負け。
●糖質制限するダイエットはスポーツ選手には不向き。
●効率よく筋肉を増やす、脂肪を減らす、それぞれに専念する方が良い。

 「女性の方は、一度はダイエットしたことあると思うんですが、プロボクサーの減量っていうのは基本的にはリバウンドも計算して減量します。試合前日の13時くらいに計量をして、そこから24時間試合まで時間が空きます。その間に、減量中に失った水分とかエネルギーを補給して試合で使えるようにします。」

試合から逆算して約1ヶ月、食事も運動も逆算

― 八重樫選手の減量方法は?

 減量の最初の1週間は食べる物から変えます。基本的には低カロリー高タンパク。低カロリー高タンパクでたくさん運動をして、もちろん試合前は、毎日練習があるんでそうやって体重を落とします。昔は、あしたのジョーとかを見ていると最初から蛇口に紐をぐるぐる巻きにしてお水を飲まなかったり、本当に過酷な減量ですけども、あれは漫画の世界なんで(笑)

 今現在、体重が58kgくらいあるんですけど、ライトフライ級だと48.9kgまで落とさないといけません。約10kgくらい落とすんですけど、最初の1週間から3週間の間にかけて自分の脂肪を削ります。これは女性の方も通じるところだと思うんですが、カロリーコントロールというのもしていきます。

脂肪ってちゃんと計算して、ちゃんと落ちるんです

 まず、自分の体の基礎代謝があるんですが、女性の場合だと約 1300~1500カロリー。
男性の場合、1500~1800カロリーくらいまで。これが1日じっとして、何もしなくても燃焼されるカロリーです。ここから引き算をします。

 例えば、自分が1800カロリーが基礎代謝という人間が、1日の食事とか摂取カロリーを大体1200−1300カロリーくらいに抑えます。それを食べる物へ計算していくんですが、そうすると誤差が500カロリーできます。脂肪が10グラム減るのが7200カロリーなんです。7200カロリー消費すると大体1キロ、カロリーで脂肪が燃えます。計算しながら自分の脂肪量をどんどん落としていくんです。不思議なもので脂肪ってちゃんと計算していると、ちゃんと落ちるんです。体って、たし算と引き算でできているんで、そこの部分は健康的に痩せていくんで、みなさんも実践されてみてもいいかと思います。
八重樫東

 そうやって僕は3週間で、たし算、引き算をしながら、食べるものを調節して練習量を増やして減量していきます。練習をすると消費カロリーは増えて、そこから たし算をするんですけど、そうやって脂肪を燃焼して落とす作業を3週間かけてします。僕は、大体10キロ減量するんで、脂肪で6~6.5kg落とします。ちゃんと落ちるんですよ。

最後の1週間の”水抜き” リアル「あしたのジョー」の世界

― 水抜きとは?

 水抜きっていうのは、本当に汗を出して喉が乾くんだけど飲まないんです。本当にここからが我慢の世界なんですけど、人間の体っていうのはほとんど水でできているので、健康の範囲以内だとギリ体の7%くらいは外に水を出すことができる。それ以上やってしまうと痙攣を起こしたりとか、命の危機に関わります。僕の場合は、3.5kg水を抜いて試合に挑みます。

八重樫東

それでも何度も試合をしていると減量がきついんですよね

 2014年の9月にローマン・ゴンザレス戦とのフライ級の世界タイトル防衛戦に敗れ、その年末に挑んだ次の試合で1階級下げてライトフライ級で世界タイトルマッチに挑戦したんですけども、恥ずかしい話、暴飲暴食してしまったんです。計量が終わった後に24時間くらい試合まで時間があるんですが、試合前の計量で48.9kgでパスして、試合の当日に計測したら、57kgくらいに増えてしまっていて…、完全な減量失敗のパターンですね…。

 体重があまりにも増えちゃって、動きも悪くて、苦しいとこにボディ打たれたら、バタンと倒れちゃって、残念な話ですね(笑)。つまり、暴飲暴食のせいで左ボディブローで倒されてしまってKO負けになってしまったんですね。本当にこの試合は、自分自身反省することたくさんありました。今は、科学的に減量できるんで、昔よりも選手の寿命も延びて、現在35歳なんですけども、35歳でもトップでやっている選手が海外でもたくさんいます。

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