井上尚弥戦は「金が目的じゃない」 WBA2位の挑戦者が急転直下で舞い込んだ大一番への心境告白「楽な相手とやりたくない」

スパーリング中の負傷でグッドマンは井上戦を断念せざるを得なかった。(C)Getty Images
世界屈指のビッグネームとの突然の試合
急転直下で舞い込んだチャンスを逃しはいない。軽量階級で成り上がりを目論む挑戦者が、ボクシング界で「最強」と言われる日本人との戦いに意気込んでいる。
「イノウエ戦は確かに大金が生まれる。でも、俺にとってそれは目的じゃない」
【画像】米記者が愕然とした井上尚弥とブルース・リーの比較画像をチェック
そう発信したのは、WBA世界スーパーバンタム級2位のラモン・カルデナス(米国)だ。現地時間3月6日に米誌『The RING』によって、5月4日に同じ階級の4団体統一王者に君臨する井上尚弥(大橋)との対戦が決定的と報じられた29歳は、キャリア最大級とも言える大一番に対する心境を、米ボクシング専門YouTubeチャンネル『210 Boxing TV』で語った。
当初に井上陣営は、業界屈指のビッグマッチが組まれるメキシコの記念日「シンコ・デ・マヨ」の一週間に当たる今回のラスベガスでの興行を彩るべく、WBC同級1位のデビッド・ピカソ(メキシコ)との対戦を計画。しかし、土壇場になって父親を含めた敵陣営が消極姿勢に転じてプランは白紙状態に。そこで白羽の矢が立ったのが、メキシコ系カルデナスだった。
27戦26勝(14KO)1敗の戦績を持つオーソドックススタイルのファイターであるカルデナスは、米メディアで「地獄のパンチ力を持つ男」(米専門サイト『Boxing Scene』より)と評される実力の持ち主だ。守備面の拙さはあるものの、常に好戦的にプレスをかけるスタイルは、アグレッシブな打ち合いが期待できる。
無論、世界屈指のビッグネームとの突然の試合決定に少なからず驚きはあった。井上との対戦合意について意見を求められたカルデナスは「知ったのは2週間ぐらい前のことだった。ロサンゼルスにいた時に、マネージャーから『イノウエとやりたいか』って言われたんだ」と告白。水面下で進められた交渉の内情を明かした。
「最初は冗談かと思ったんだ。だけど、『もちろんだ』と返したら、『5月4日にだけど、問題はないか。とにかく交渉中だから黙っていてくれ』と言われたから『マジか。いいね』と言ったよ。俺は『とにかく受けるよ』って気持ちで即答した。それがついに実現するんだ。今は夢が叶った気分だ」