松岡修造、全米OP前回女王の大坂なおみに激励「小さく収まるな!」
大坂なおみ選手の連覇が期待される全米オープンテニスが8月26日より開幕中。開幕前に、WOWOWテニス解説者の松岡修造さんが、大坂なおみ選手の優勝の可能性や見どころについて語った。
吉と出るか凶と出るわからないところがいい
——松岡さんにとって全米オープンテニスはどういう大会でしょうか?
松岡:2019シーズン最後のグランドスラムなので、選手からすると全てを賭けていい大会です。ツアーも後半戦に入り、どの選手も体力的にもメンタル的にもきつい時期です。だからこそ、どの選手にとっても体力的にも過酷な試合であることは間違いない。もう一つは、ナイトセッションとかもあったりして、エンターテインメント性のある大会だからこそコントロールするのが難しい。そういうところは、錦織圭は得意ですね。(ナダル、フェデラー、ジョコビッチの)ビッグ3はさらに大得意。そういうお祭り感覚、エンターテインメント・エネルギーをどのように自分で注入していくかというのが一番のポイント。大坂なおみさんは昨年それを見事に注入しました。全米オープンには、他のグランドスラムには感じられない、アメリカならではの面白さというものがありますね。
——大坂なおみ選手は最近調子を落としているように見えます。
松岡:最初から最後まで最近のなおみさんの試合を見られていないので正確なことは言えないですが、去年優勝した時と比べると、テニスの質が落ちているように思います。去年は走らされても耐えられる体力を持っていたけれど、今は走らされると振り回されている。周りの環境も変わり、また世界1位という重圧がないとも言えない。世界一としてやらなければならいこともあるだろうし、一時に比べて練習時間も減ったのかもしれません。充実していた頃とは違うと感じますね。
でも、全米を優勝するチャンスがあるかと聞かれれば、もちろんあります。なぜなら、大坂なおみという選手は特別だからです。他の誰よりもパワーを持っているし、他の誰よりもハマったときは強い。第二のセレナ・ウイリアムズになれるチャンスもある。ただ、いい時と悪い時のアップダウンの差が大きいだけに、100かもしれないし0かもしれない可能性も残されていると思います。
僕が思う特効薬は、「小さく収まるな」ということ。
大坂なおみという選手は大きな坂を登りつめていく存在。彼女はもっと大きくならなければならないんですよ。今は小さくまとまっているけど、とてつもなく激しいショットとか、彼女の良さはいい意味での荒削りなところなんです。そういう意味では、一回戦負けもあるかもしれないです。でも、優勝もあるかもしれない。吉と出るか凶と出るかわからないというなおみさんで今はいいんじゃないかなと僕は思いますね。