中田翔は巨人ファンの信頼を得られるか 鍵を握る「あの選手」の存在とは 〈がけっぷちの男たち〉
それはまるで、「巨人失速」の象徴的なシーンだったと言っても、過言ではないでしょう。
3位に滑り込みながらも、「借金1」に終わった巨人の2021年シーズン。11月12日、「引き分けなら終戦」で迎えた神宮でのCS最終ステージ第3戦、ヤクルト戦。最後の打者になったのは中田翔でした。2死走者なし、フルカウントからマクガフのワンバウンドのカットボールを空振り三振。巨人ファンのため息とともに、悲しみのシーズンが幕を閉じたのです。
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2020年のパ・リーグ打点王に輝いた中田翔が巨人に電撃移籍したのは、8月20日のことでした。
スポーツ紙のプロ野球担当記者は言います。
「この前日の時点で巨人は首位・阪神を2ゲーム差で追い、貯金は14あったんです。つまり中田の加入後、巨人の借金は15に膨れあがったことになる。『中田加入』が好調のチームにマイナスの変化をもたらしたことは、残念ながら数字が実証しています」
首脳陣は中田を優先的にスタメン起用し、それまで当たっていた中島はベンチスタートに追いやられ、伸び盛りだった北村は同じ右打ちの内野手ということもあり、2軍降格を通告されます。
かみ合わない歯車。こんな現状を最も悲しんでいたのは、チームを愛する巨人ファンだったのです。
都内在住の40代、筋金入りのG党は言います。
「暴力事件で日本ハムを無期限出場停止になった中田が、巨人に移籍後いきなりスタメン起用されたことで、良識派のプロ野球ファンからはSNS上で『巨人は卑怯だ』『勝てばいいのか』という声が聞こえてきた。我々だって『転校生』をどう迎えたらいいのか、戸惑いましたよ。せめて1か月は2軍で、阿部監督のもとで汗と土にまみれて心身を鍛えてくれたら、違う対応ができたと思うんですが…」