【現役選手の視点/シェーファーアヴィ幸樹】豪州戦の後半に希望アリ!「日本のバスケをすれば順位決定戦の2連勝は現実的」【バスケW杯】
3ポイントをおとりにしてペイントアタックも見せた富永の判断が光った(C)Getty Images
8月29日に「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」の1次ラウンド・グループE第3戦が行われ、日本代表が89ー109でオーストラリア代表に敗れた。勝てばグループ突破という大一番で力の差を見せつけられたこのゲームを、「現役選手」はどう見たのか。日本代表として東京五輪を戦い、現在は右膝前十字じん帯断裂から復帰を目指すシーホース三河のシェーファーアヴィ幸樹に試合の感想と次節オーストラリア戦へのポイントを聞いた。
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オーストラリアは強かったですね。でも、日本も後半の第3クオーターは本気のオーストラリアを相手に積極的なバスケができたし、35-30と追い上げることもできました。フィンランド戦での逆転勝利の影響で、おそらくオーストラリアは日本に対するリスペクトがあったと思うんです。だから、オーストラリアは後半もメンバーを落としてこなかった。その中でしっかりと点差を縮められたのは大きかったと思います。
それだけに前半の出来が悔やまれますが、日本の出来が悪かったというよりは、オーストラリアが良かったと思います。オーストラリアは日本をしっかりスカウティングしていて、富永啓生選手がなかなかシュートを打たせてもらえなかったし、河村勇輝選手も簡単にペイントアタックさせてもらえませんでした。日本は(渡邊)雄太さんやホーキンソン選手の個人技で得点する場面は作れましたが、どうしても向こうのチームディフェンスに苦しんで、オープンシュートの場面をなかなか作れなかったんです。
オーストラリアで特に目立ったのが、ビッグマンのクック選手ですね。日本はゾーンディフェンスをしたり、いろいろ手は打っていたんですが、オフェンスリバウンドでもインサイドに身体を張って飛び込まれたりと、なかなか対応が難しくなっていました。
リバウンドを取られていたのは、オーストラリアのオフェンスに日本のディフェンスが崩され、ミスマッチを作られてホーキンソン選手がいいポジションを取れていなかったのも大きかったと思います。そういう場面でクック選手が飛び込んでくる形が多かったので、全体的にチームとして守り切れなかったのがリバウンドを取れなかった要因でした。
一方で、後半は日本のやりたいバスケができている場面も多かったです。アグレッシブなディフェンスで、ダブルチームでトラップを仕掛けてターンオーバーを誘発した場面がありましたし、オフェンスも機能していたので点の取り合いでも勝負できました。オーストラリアの大きさやディフェンスに慣れてきたのか、インサイドに切り込んでシュートを打つ場面も増えていましたよね。例えば富永選手は、3ポイントを狙うだけでなく、ドライブして自分で決めたり、そこからのパスでチャンスを作ったりしていたし、河村選手へのケアがきつかったけど周りをしっかり使うようにしたり、富樫勇樹選手と雄太さんが決めきってくれたのも大きかったです。
ディフェンスは正直言って難しい部分はあったんですが、流れがいい時はプレッシャーも上手くかかっていたし、リバウンドをしっかり取り切ってからの切り替えも早かった。切り替えからの速攻で簡単に取れた点が4点から6点くらいあったので、それは次の試合でも続けたいですね。