奇跡の共鳴はあるのか 2016年からのドラフト最大の目玉だったドライチたちがそろって開花の予感
リバイバルを予感させた春だった。2月28日、全12球団のキャンプが打ち上げ。3月2日からは各チームの本拠地を舞台としたオープン戦が本格化する。3月25日の開幕まで、約3週間の最後のサバイバル。そこに生き残り、遅れていた開花の時を迎えようとしているかつてのドライチたちにスポットを当てる。
ソフトバンクの田中正義投手は、昨秋に続きチームの投手MVPに輝いた。「チャンスをいただけていることに感謝しています」と大卒6年目の右腕。今春は念願の開幕ローテーション入りが、手の届くところにある。
2016年ドラフト会議、当時創価大の田中は5球団競合の末にソフトバンクに入団した。大谷翔平と同学年世代の剛腕。アマ球界ナンバーワン右腕として、誰よりも高い評価を得ていた。
だが1年目の開幕前に右肩の違和感を訴えると、そこからは怪我との戦いだった。4年目の2020年を終えるまで、1軍登板はわずか11試合。昨季、救援でようやく18試合の登板と足掛かりをつかんだ。今春は藤本監督の指示の下、先発に再転向。初実戦となった2月22日の西武との練習試合ではMAX156kmをマークし、2回をパーフェクトに抑える圧巻の仕上がりをみせた。大学時代、世間を席巻した剛腕が蘇りつつある。
田中の翌2017年のドラフト会議は、この男一色だった。早実で高校通算111本塁打を放った清宮幸太郎。実父がラグビー界の大スター・清宮克幸という血筋も手伝い、1995年の福留孝介に並ぶ高校生史上最多の7球団が競合し、日本ハムへ入団した。
だが、ここまで1軍には定着できず。1年目から本塁打こそ3年連続で7本放ったが、打率は2割前後に低迷。昨季はついに1軍出場ゼロに終わった。
そこに現れたのが、ビッグボスこと新庄剛志監督。「デブじゃね?」と秋季キャンプで減量指令。指示通りに10キロ減量した清宮は引き締まった肉体でキャンプ中に1軍昇格を果たし、ビッグボス打線の中軸に期待されている。
清宮が世間を騒がした翌年、2018年のドラフト会議で最多4球団競合したのが、大阪桐蔭の投打二刀流選手・根尾昂だった。岐阜出身の根尾は、地元が近い中日に入団。だがキャンプ前の新人合同自主トレで右腓腹筋の肉離れで出遅れると、世代ナンバーワンの高い評価に応えることなく、ここまでは1軍でまともな実績を残せていない。