渋野、古江が挑戦する、来シーズンへの出場権をかけた「LPGA 2022最終予選会」 レジェンド カリー・ウェブが見る二人の可能性、突破のキーポイントとは?
渋野日向子、古江彩佳/Getty Images
世界最高峰のLPGA女子ゴルフツアーへの登竜門として、これまでも宮里藍をはじめとする日本の精鋭たちが挑戦してきた、翌シーズンの出場権をかけて行われる最終予選会(Qシリーズ)。今年は、2019年の全英AIG女子オープン覇者・渋野日向子、今季の国内ツアーで賞金女王争いを繰り広げた古江彩佳が出場することでも大きな話題となっている。一発勝負の最終予選会ならではの緊張感のなか、夢への挑戦をかけてプレーをする。
この注目必至の戦いを前に、WOWOW LPGA女子ゴルフツアー アンバサダーのカリー・ウェブにリモートインタビューを実施。通算41勝、メジャー7勝という偉大な記録を持つレジェンドならではの視点から、今年の最終予選会の見どころや渋野、古江の持つポテンシャル、さらにはすでにLPGAで活躍する畑岡奈紗、笹生優花を含む今後の日本勢の可能性について、たっぷりと語ってもらった。
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――12月の第1週と第2週に開催されるQシリーズについてお聞きしたいと思います。まず、日本の若い選手たちがLPGAツアーに挑戦することについて、どう思われますか?
「多くの日本の若い選手がLPGAでプレーすることを希望して、Qシリーズに参加していることは素晴らしいことだと思います。何年も前から日本の若い選手には素晴らしい選手がたくさんいますから、その数が増えて、ツアーで成功している姿を見るのは楽しみです。」
――今年は渋野日向子と古江彩佳が、LPGAのツーメンバーになるためにQシリーズで8日間プレーしますが、予選会を通ることは、どれほど難しいことなのでしょうか?
「日向子と彩佳にとって、JLPGA(日本ツアー)で毎週のようにプレーしてきた経験が非常に大きなアドバンテージになると思います。彼女達は世界や日本の大きな大会で優勝しており、Qシリーズが8ラウンドとなったことが、そのような(経験豊富な)選手達に有利になると思うからです。私がQスクールに出場していた頃は4ラウンドだけだったので、誰もがいい週を過ごせましたが、(8ラウンドともなると)いい週を2回も過ごせるでしょうか?毎週、毎週、プレーすることに慣れている選手は、そのことを理解していると思いますよ。そして、その2週間の間に、少し休む時間があるのです。彼女達が本当に理解すべきは、8ラウンド全てで60台のスコアを出す必要はないということなんです。もちろん、それが出来ればツアーへの出場権を確実に手に入れられますが、8ラウンドはもちろん、4ラウンドのゴルフの波や流れを経験して理解していることは、彼女達にとって有利だと思いますよ。」
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――Qシリーズが行われるアラバマ州のロバート・トレント・ジョーンズ・ゴルフ・トレイルについて、お話いただけますか?
「Qシリーズ1週目の開催コースでは、LPGAのトーナメントが行われたこともありますので、私もプレーしたことがあります。このゴルフ場にあるコースは、どれもとても似ています。コースの設計者であるロバート・トレント・ジョーンズのデザインはとてもユニークで、最初にグリーンに乗った瞬間に、それが彼の設計によるコースであることが分かると思います。彼のコースのほとんどは、大きなグリーンが特徴的ですが、たいていは2~3、あるいは4つの小さなセクションに分かれています。ですから、全8ラウンドで良いプレーをするためには、アイアンと距離のコントロールに気を配り、グリーンの正しい位置に自分のボールを置くことが重要だと思います。なぜなら、大きなアンデュレーションがグリーンにあるので、セクションを外してしまうと、他のセクションに移るのが難しくなるからです。」
――つまり、うまくプレーするにはアイアンショットがキーになるとお考えですか?
「そうですね。このコースでは、多くのボールストライカーが活躍すると思います。アイアンをうまく使って、小さなセクションを確実に攻略することが鍵になると思います。そうすれば、バーディーのチャンスも増えますし、ストレスも溜まりません。何故ならQシリーズは、4ラウンドでも8ラウンドでも、文字通り人生で最もストレスのたまる時間ですからね。その2週間を笑顔で過ごしている人はいません。ですから、できるだけストレスのないゴルフをすること大事でしょう。」
――Qシリーズへ向けて、渋野へのアドバイスはありますか?
「日向子へのアドバイスとしては、彼女がLPGAで戦いたい気持ちはよくわかりますが、自分にプレッシャーをかけすぎないようにすることですね。彼女は明らかにLPGAで活躍するだけの実力を持ついい選手だと思いますし、全英AIG女子オープンの優勝者であることを忘れてはいけません。彼女はいい選手だと(世間に)知れ渡っているので、既に他の多くの選手よりも精神的に優位に立っています。だからこそ、彼女は自分の力を誇示しなければいけませんし、8ラウンドをうまくこなして、来年LPGAのメンバーとして活躍する姿を思い描くことができると信じています。」