八重樫東が見た、モンスター井上尚弥の覚醒
モンスター井上尚弥との出会い、覚醒
彼が中学三年生の時にうちのジムにスパーリングに来て、その時に初めてスパーリングをしたのが一番最初の出会いですね。その当時尚弥は中学生だったので、強い学生だな、という印象でした。そのあと高校生になって、またスパーリングをした時にはボコボコにされて(苦笑)。めちゃくちゃ強くなっていて、びっくりしましたね。こんなに強くなったんだって。そこから結構スパーリングをするようになって。彼がライトフライ級の世界チャンピオンになって、その当時僕はフライ級の世界チャンピオンで、その時くらいまでは一緒にスパーリングをやっていました。彼がスーパーフライ級にあげてからは、尚弥とは一回もスパーリングをやっていないです。正直ここまで、もちろん世界チャンピオンになるとは思っていましたけど、このレベルの人間になるとは思ってもいなくて。本当に、選ばれた人なんだなと思います。
彼がここまで覚醒したのは、スーパーフライ級にあげてからですね。オマール・ナルベエス戦。そこが何かのスイッチになった、覚醒的な試合だと思いますね。2ラウンドで4回ダウンを奪って、すごかったですね。その試合の前の試合は僕とローマン・ゴンサレスの一戦だったんですが、僕がKOで負けたんですけどね、左ボディで。懐かしいですね。
尚弥は本当にすごい選手ですけど、それ以上に彼が練習するのを見てきているし、ボクシングに対する気持ちというのは、ほかの選手とは比べ物にならないものがたくさんあります。プレッシャーとかもそうですけど、彼に求められるレベルの高さとか、試合内容とか、すごいレベルで要求されるので、そういう想像以上のことをこなしてきた人間なので、それ相応に大変な思いもしていると思います。WBSSで優勝して、ここからさらに高みを目指すと思うけど、それこそいろんなプレッシャーもかかってくると思いますけど、そういうのを楽しみながら、さらに大きく成長して欲しいですね。一ファンとして、井上尚弥くんを追い続けて行きたいなと思いますし、これからも楽しみにしています。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
八重樫 東(やえがし・あきら)
1983年(昭58)2月25日、岩手県北上市生まれ。拓殖大学在籍時に国体でライトフライ級優勝。卒業後、大橋ジムに入門。元WBA世界ミニマム級王者、元WBC世界フライ級王者、元IBF世界ライトフライ級王者と世界3階級制覇を成し遂げる。プロ通算34戦28勝(16KO)6敗。162センチ。右のボクサーファイター。
井上 尚弥 (いのうえ・なおや)
1993年4月10日、神奈川県座間市出身。
今もコンビを組む父・真吾氏の下、小学1年でボクシングを始める。相模原青陵高校時代に7冠を達成し、2012年に大橋ジムからプロ入り。戦績19戦全勝(16KO)。15年に結婚した高校時代の同級生との間に17年10月、長男が誕生した。