【男子バレー】熾烈なアウトサイドヒッターのサバイバルに生き残るのは誰だ? 石川と髙橋が不在の中でアピールしたのは――
その2028年ロサンゼルス五輪で「一番手のエースになる」と口にしているのが甲斐優斗(専修大学)だ。前回のフィリップ・ブラン監督時代にその才能を見出され、パリ五輪はチーム最年少(当時20歳)で出場した。今大会から本格的にスタメンで起用される機会も増え、そこでは被ブロックやサーブレシーブで崩される場面があるとはいえ、まだまだエースへの道のりを踏み出したばかり。例えばイタリア代表のエース、アレッサンドロ・ミキエレットも当時19歳で出場した東京2020五輪の日本戦ではサーブレシーブに苦しんでいた印象だが、その後はメキメキと成長を遂げて今や絶対的エースとして君臨する。なお甲斐は身長203センチでミキエレットは205センチ。世界に匹敵するポテンシャルを備える甲斐が、自身の目標を叶えることは決して不可能ではあるまい。
その面々に経験値で上回るのが大塚達宣(ミラノ/イタリア)。すでに五輪は東京2020、パリと2大会連続で経験している。さらなる成長を求めて、2024-25クラブシーズンはセリエAに身を投じると、アタックとサーブは確実にパワーアップした。その攻撃力はもちろん、途中出場からでも力を存分に発揮できる点は大塚の強みである。フランス戦での活躍はまさに真骨頂といえるもので、開始時からコートに立った第4セットはチーム最多7得点をマークして逆転勝利の立役者となった。2028年ロサンゼルス五輪は当然、目標に定めている。
その富田、甲斐、大塚らすでに日本代表のAチームを経験してきた面々に加えて、このネーションズリーグで存在感を増しているのが山崎彰都(ウルフドッグス名古屋)である。これまではB代表で活動してきたが、今大会では出場登録メンバーに選出された。リリーフサーバーでの起用に始まり、そこでは「流れを変えられるように攻めるサーブを打てたら」とエンドラインに立てば勝負強さを発揮。ゲームチェンジャーの役目をまっとうする。おもしろいのは所属先のWD名古屋で2024-25シーズンはミドルブロッカーとしてもプレーしていたとあって、今大会のスロベニア戦(現地6月25日)ではサーブレシーブを上げてからAクイックの位置に助走に入ったこと。そうしたプレーの幅の広さは山崎の武器である。
それぞれに持ち味や強みがあり、さらなる伸びしろを備えるアウトサイドヒッター陣。石川と髙橋は世界を見渡してもトップ・オブ・ザ・トップの境地に立っていると言えるが、その2人を巻き込んだチーム内競争が激しくなればなるほど、それは日本代表の強化につながることは間違いない。
[文:坂口功将]
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