開催が待たれるF1 財政難回避のためハミルトン、ベッテルが年俸減額の申し出
新型コロナウイルスの感染拡大でF1のシーズン開幕が6月以降になったことを受け、出場チームが財政難に陥る可能性が大きくなったことから、メルセデスのルイス・ハミルトン(英国)、フェラーリのセバスチャン・ベッテル(ドイツ)ら高給取りのドライバーを中心に今季の年俸の減額を所属チームに申し出たもようだ。
メルセデスのルイス・ハミルトン(左から3人目)ら今季の主要ドライバー(ダイムラー提供)
年俸の減額はチームにとっては大きな救済となる
ハミルトンの今季年俸は約6000万ドル(約66億円)でベッテルは約4000万ドル(約44億円)。今季は開幕戦オーストラリアGPと第7戦モナコGPの中止が決まり、他の序盤6戦が延期となったものの、物理的に全てのレースの代替日程を組むのは難しく、史上最多の年間22戦で組まれたレースカレンダーについては15~18戦にスリム化される。
仮に18戦になった場合は18・18%分のレース数が減ったことになり、年俸も18・18%分の減額が想定される。ハミルトンは約12億円分、ベッテルは約8億円分と見込まれ、チームにとっては大きな救済となるのは間違いない。
F1チームは前年の製造者部門の順位に応じた分配金と、車体などに掲げられる企業スポンサーの広告収入で成り立っている。メーカー系チームは親会社から広告宣伝費、車両開発費も出ているが、レース数が減れば、広告収入も減額となる契約をスポンサーと結んでいるケースが多い。
F1は人件費もばかにならない。マクラーレンではコスト削減のため約850人の従業員の一部に対し、3カ月の休職、もしくは3カ月分の給与カットをすることを決めたという。
同チームは「これも景気が回復した際にフルタイムで従業員が仕事に戻れるようにするため」と説明。所属ドライバーも協力を申し入れ、カルロス・サインツ(スペイン)、ランド・ノリス(英国)は相当額の年俸カットに応じるという。