「私は女性」性分化疾患を持つ陸上元女王が悲痛な訴え!世界陸連に規定の見直し要求「不公平な優位性なんてない」
今も出場制限をされているセメンヤ。彼女は世界陸連に対して切実に訴え続けている。(C)Getty Images
陸上の女子800メートルで、2012年のロンドン、2016年のリオデジャネイロと五輪2連覇を達成したキャスター・セメンヤ(南アフリカ)が、現地時間11月7日に英公共放送『BBC』のインタビューで「私自身が女性であることは分かっている」と語った。
【関連記事】「なぜ反則か分からない」柔道の韓国女子の反則負けが物議! 相手の顔に“張り手”も国内で広まる反発の声
現在32歳の女王が訴えるキッカケとなったのは、世界陸連が2018年に導入した規定だ。同連盟は性分化疾患(DSD)を持つアスリートに対し、男性ホルモンのテストステロン値を低下させた場合に限り、400メートルから1マイルまでの女子競技に出場できる規定を導入。現在では対象が全競技に拡大された。
ただ、該当アスリートについては6か月のホルモン抑制治療を受ける必要があると裁定された。そのため、女性として生まれるも、テストステロン値が生まれつき高いセメンヤは世界陸連の決定に異議。スポーツ仲裁裁判所(CAS)とスイスの最高裁判所に提訴するも「規定は公正な女子競技のために必要である」と敗訴していた。
この結果に対して、今年7月には欧州人権裁判所(ECHR)が「差別があった」と判決。ただ、『BBC』によれば、この判決は「スイス政府がセメンヤを差別から保護しなかったため」に下されたもので、「DSD規定に対するものではない」という。
今もセメンヤは競技参加を制限されている。そうしたなかで『BBC』の取材に応じた彼女は「私は違いを持って生まれた。それを受け入れてきた。他人と違うからといって恥じることはない」と断言。さらに「この規定によって、たくさんの子どもたちが影響を受ける。だから、私はいま、次世代のために戦っている」と当局への規定の見直しを求めた。
「私に不公平な優位性なんてなかったし、私は他人と違って、特別で、それを素晴らしいことだとも感じている。女子スポーツには真剣に受け取られていないし、私たち自身の身体は自分たちで管理しないといけない。だから、私たち自身で正しいことを決断する。どう見えるべきか決断するのは他の性別の人ではない」