中野友加里が語るトリプルアクセルへのこだわり、「クレイジーガール」誕生秘話とは
誰か1人でもジャッジの人の目に止まったことが嬉しかった
こうしてトリプルアクセルを習得し、自らの「武器」としていった中野さん。
次第に、一つの大会で複数回この大技を組み込みたいという思いが強くなったという。
「(トリプルアクセルを)跳べるようになると、沢山の回数を、大会で魅せたいと思うようになりました。
10代の頃は、ショートプログラムで1回、フリープログラムで2回といった、現在のルールでも結構ハイレベルな構成で挑むくらいチャレンジャーな選手だったなと思います。」
こうした「攻めの構成」で挑んだ中野さんは、いつしか「クレイジーガール」と呼ばれるように。
だが、そのきっかけは、なんだったのだろうか?
「ある時、ミスこそしてしまったものの、ショートで1回、フリーで2回計3本、トリプルアクセルを入れて臨んだ大会があったんです。その時に『あの子の構成はなんだ?』みたいな感じで、言われたことがあり、そこからおそらくジャッジの方の1人が『クレイジーガールだ』って言ったんですよね。なので、私が(トリプルアクセルを)3回挑んだことに対して『クレイジーガール』と言ったんだと思います。それが残ってクレイジガールと呼ばれていると思います。」
そんな中野さん。「クレイジーガール」と呼ばれたことに対し、このような思いを語っている。
「今考えると、どう言った意味の『クレイジー』だったんだろう?と思いますね。あまりにも挑戦的な構成だったので『こいつ頭がおかしい』と思われたのか、それとも良い方に「こんな挑戦的な娘見たことない」ということなのか、当時はよくわからなかったんですが・・・。
でも、そうやって、誰か1人でもジャッジの人の目に止まったことが嬉しかったですね。
ただ1人の『選手』ではなく『あの子はクレイジーだ』というインパクトを残せたことは、その大会の中でも大きかったと思います。」
現役でトリプルアクセルを跳ぶ女子選手について
近年、フィギュアスケートブームによって、スケートを始める子供たち、さらには、これからトップスケーターを目指す選手が増えているが、このトリプルアクセルという大技を跳ぶためのコツについて、中野さんはこう解説する。
「私自身のことなので、全ての選手に当てはまる訳ではないんですが、(トリプルアクセルを)跳ぶ上で重要なことは、『跳ぶ前の構え』『軌道』『跳んでいく角度』が重要だと思います。
これらが、今の時代にお手本のように跳んでいるのが紀平梨花選手だと思います。
自分の描いてきた流れ、滑ってきた流れに逆らわず、そしてあまり踏み込みすぎず力を抜いたまま跳びにいく。尚且つ幅のあるジャンプなので、凄く理想のトリプルアクセルだと思います。こういう跳び方もあるんだなと学んだ選手の1人です。」
一方で、現役であの「レジェンド」と同じトリプルアクセルアクセルを跳ぶ選手がいるという。
「伊藤みどりさんの場合は、凄いスピードで来て、勢いに乗ったまま、ジャンプの高さが凄い。滞空時間が長いので3回転半きっちり回ることができるんですよね。
このジャンプを跳べるのが、ロシアのコストルナヤ選手です。伊藤みどりさんに通ずるものがあるくらい迫力のあるジャンプを跳ぶので、私がジャッジをしていたらGOEで満点をつけたくなるくらいですね。」
このほか動画では、「トリプルアクセルを跳べる人と跳べない人の違い」について、さらには、自身の経験を元に「クレイジーガール」から現役選手へ伝えたいメッセージについても語っている。
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