「1人だったら多分潰れていたんじゃないかな」ソフト・山田恵里が明かした苦難とチームメイトの存在
「1人だったら多分潰れていたんじゃないか」
自身の一打でチームを決勝進出へ導き、勢いそのまま金メダル獲得へと駆け抜けた山田。
だが、自身は直前の合宿そして大会が始まってからも、なかなか結果を残すことができなかった。
「元々結構ポジティブなんですが、今回は『こういう風になったらどうしよう』とか、『もし結果が出なかったら大変な事になるな』とか、ネガティブな方向にいくことがありました。そこをなんとか繋ぎ止めてプラスに持っていっていましたね。自分自身『辛い』とかそういったことを隠さずに、打ちあけていたこともありました」
金メダルやキャプテンとしてのプレッシャーに加え、自身の不振にも苦しんでいた山田。そんな山田を支えたのは、共に苦難を乗り越えてきた、チームメイトの存在だった。
「今回上野さん以外、皆年下の選手でしたが、若い選手たちに助けられたなと思います。
ずっと長い間合宿を共にやってきていたので、自分の様子が変だなということはわかっていたみたいで、気にかけてくれていました。後になって、『山田さん普通じゃなかったですよ』と言われて、『やっぱそうだよね、出てたよね』みたいな(笑)
でも本当に、団体競技なので1人だったら多分潰れていたんじゃないかなと思います。
チームの皆に本当に助けてもらいましたし、自分が結果が出なくても、チームが勝てていたので、なんとか心が折れずにやれていたのではないかと思います」
その言葉通り、今大会、後輩たちの活躍が随所で目立った。
「今回の大会では本当に素晴らしい活躍で、チームを救ってくれた存在だった。すごく頼もしかった」
と、山田自身「チームの救世主」と語る後藤希友は数々のピンチを初出場とは思えない見事なピッチングで完璧なリリーフ。
決勝戦、抜ければ絶体絶命のピンチとなる場面で、スーパープレーが飛び出した渥美万奈についても、
「普段から上げ下げがないというか、本当に色々なことを淡々とこなすタイプ。目立つようなタイプではなかったが、渋い仕事を常にしていた。それが今回みたいな大事な場面で飛び出すんだなと。渥美の性格がそのまま結果として出たなと思いました」
と、日頃の積み重ねを経てのプレーだったと絶賛した。
そして、どんなに調子が上がらずとも、宇津木麗華監督からの信頼も変わらなかった。
不振が続く中でも使い続けてくれた指揮官に山田は、
「6.7月の合宿でなかなか思うような結果が出ていなくて、それでも試合には出させてもらっていた。なんとかその思いに応えたいという気持ちでずっとやっていましたし、キャプテンとして色々話をして下さったこともありました。お互いが良い信頼関係でやれていたのではないかと思います」
と、信頼と感謝の言葉を口にした。
「何度も何度も救われた」存在
様々な苦労があって掴みとった金メダル。これには多くの日本人、そしてソフトボールファンが勇気や感動をもらった。
一方で、山田自身もある人からパワーをもらっていた。歌手の浜崎あゆみさんだ。
「歌の力ってすごくあると思っていて、浜崎あゆみさんの歌はもちろん、歌詞がすごくいいものだなと思っています。『MY ALL』という曲が1番好き。チームのような歌詞なので、すごく自分たちと重なる部分があるんです。今回の大会もずっと聞いていました。本当にその歌に何度も何度も救われましたね」
兼ねてより浜崎さんのファンであることを公言していた山田。そんな山田へ向け、浜崎さんは決勝戦直前に、
「試合前に『MY ALL』聴いてくださってありがとうございます!『ひとりじゃなかったら』その言葉の意味を改めて大切に感じながら全力で応援させていただきます!!」
と、インスタグラムのストーリーを通してエールを送っていた。
この投稿を試合後に知ったという山田は、
「インスタグラムに載せてくれていたのを試合後に自分は知ったので、金メダルよりも嬉しいくらいだった。金メダルを獲って良かったなと本当に思いましたね。
まさか自分の大好きな人がそうやって載せてくれていたので、すごく嬉しかったです」
と、喜びの言葉を口にした。
今回2大会連続の金メダルを獲得し、盛り上がりをみせたソフトボール。だが、次の2024年パリ大会では再び競技種目から除外されることが決まっている。
次編、最終回となるインタビュー記事では、山田が今後のソフトボール界へ込める思い、さらにはこれまで共にソフトボール界の先頭に立って引っ張ってきた上野の存在についてお伝えする。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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