「ソフト史上最高の打者」山田恵里が現役引退。本誌だけに語った「決断の理由」と「上野由岐子への想い」とは
2008年の北京五輪、そして2021年の東京五輪ソフトボールで金メダルを獲得した山田恵里が、今季限りで現役を引退すると表明した。勝負強い打撃で長きにわたって代表チームを牽引し、東京五輪ではキャプテンも務めた「ソフト史上最高の打者」は、なぜユニフォームを脱ぐ覚悟を決めたのか。引退決意までの経緯と現在の想いを聞いた。
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ーー現役生活、おつかれさまでした。引退を決断した理由は?なぜこのタイミングだったのでしょう?
山田恵里 オリンピックが終わったタイミングで、このままソフトボールを続けたいのか、それとも辞めたいのかが見えてくるのかなと思っていたんですが、オリンピックが終わった瞬間はまったく見えませんでした。昨年のシーズンが終わった段階でも「まだ選手としてやれるな」と思ったので続けたんですけど、今年に入って「もう突き抜けた結果を出せないんじゃないか」と感じたことと、あとは完全に悔いがなく、やりきったと思ったので決断しました。
ーー改めて引退する寂しさは感じますか?
山田 寂しさは全然ないです。むしろ、毎日やってきたルーティンを早く終わらせたいですね。
ーールーティンというと?
山田 まず、毎日4時半に起きる。4時半に起きて体幹トレーニングしてスイングしてから練習場に行って、そこでバッティングをしてウエートして全体練習に入るという感じです。だから、もう解放されたいです(笑)
ー-引退まで、残り数試合あります。
山田 特別、何をしたっていうのはなく、自分のプレーを出し切ることで、見てくださる方々に何か伝わるのかと思っています。最後だからと思わずに、普通にやろうと思っています。
ーー山田選手のキャリアを振り返ると、キャプテンを務めた東京オリンピックが印象的です。序盤は苦しみましたが、尻上がりに調子を上げて金メダル獲得に貢献しましたね。
山田 あんな経験は初めてでした。大会序盤は不調で「もう私の東京オリンピックは終わった。人生終わった」と思ってたんです。予選最後のカナダ戦前日も2時間ぐらいしか寝られなかったんですが、その夜にイチローさんのWBCの映像を見て吹っ切れました。イチローさんはWBCですごく不調だったんですけど、決勝の韓国戦でセンター前に決勝タイムリーを打った。あの映像を見て、「自分も明日から大丈夫かも」と勇気をもらって復活できました。
ーー一番の思い出の試合、思い出の場面は何でしょう?
山田 上野(由岐子)さんと最初に対戦した時にヒットを打ったんですよ。それは印象的でした。あとは(モニカ・)アボットからホームランを打ったことですかね。でも、1番といったらなんだろう。やっぱり上野さんと対戦できたことですね。