次々に飛び交う改革論、課題多きFA人的補償だが過去には糧として新境地開いた名プレーヤーたちも
山川の人的補償として和田の名前が報道されたことで、改めて問題点がフォーカスされた(C)Getty Images
日本野球機構(NPB)と日本プロ野球選手会の事務折衝が1月23日に行われた。この日は議題に上がらなかったというが、選手会の森忠仁事務局長は取材陣を前に、国内フリーエージェント(FA)移籍に伴う「人的補償」について、即時撤廃を求めたという。
人的補償を巡ってはつい先日、ソフトバンクに移籍した前西武・山川穂高の人的補償として、和田毅の名前が一部で報道され話題となったばかり。西武は和田獲得の方針を固めたと伝えられたが、その後に球団から発表された獲得選手は甲斐野央だった。
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人的補償では外国人選手を除く28選手がプロテクトされる。その名簿は当該2球団のみのやり取りにとどまるのだが、期せずして和田が「プロテクト外」であったことが明らかになった格好に。ネット上には「和田が移籍を固辞して、引退もちらつかせたのでは」、「甲斐野は当初はプロテクトされていたが、そこで手打ちとなったのでは」と舞台裏での動きを疑う声が噴出し、SNSでは関連ワードがトレンド入りした。
森事務局長は現行制度の問題点を挙げ、また過去の事例についても疑わしい点があると指摘したという。熱心な野球ファンには周知となっているのが、2017年オフに起きた「岩瀬式プロテクト」事件だ。日本ハムから中日へFA移籍した大野奨太の人的補償として、日本ハム側はプロテクト漏れしていた岩瀬仁紀を指名。ところがベテラン左腕が移籍を拒否し、引退を口にしたため、指名を回避して金銭補償に方針転換したとされている。