渋野日向子が全英初優勝、ゴルフ界でも「岡山の奇跡」
ゴルフ界でも「岡山の奇跡」だ。
AIG全英女子オープンで、渋野日向子(20)が初優勝を飾った。日本人の海外メジャー制覇は1977年に全米女子プロを制した樋口久子以来、男女通じて42年ぶり2人目の快挙。健康的な笑顔を振りまくニューヒロインの出現に、メディアやワイドショーは連日特集を組んで、彼女の人柄やルーツに迫っている。
写真/GettyImages
一夜にしてスター
渋野が勝った「メジャー」は、どれほどすごいのか? 女子ゴルフでは、ANAインスピレーション、全米女子OP、全米女子プロ選手権、エビアン選手権、全英女子OPの5大会をメジャーと呼ぶ。数あるツアーの中で権威の高い5つ(男子は4つ)として定められている。海外で活躍した、賞金ランキング全米1位の岡本綾子、世界ランキング1位の宮里藍でも、悲願のメジャー優勝はかなわなかった。日本人男子は、松山英樹はじめ1人も勝ったことがない。「高い壁」を、海外初出場の渋野があっさりと越えてしまった。
渋野は優勝賞金67万5000ドル(約7200万円)を手にした。昨年プロテストに合格し、国内ツアー今季18戦で2勝を挙げた賞金総額が7820万8570円。日本でコツコツ積み上げた合計額と、同じくらいの賞金を1試合で稼ぎ「すごい。え~、何買おうかな。とりあえず死ぬまでのお菓子を買いたいです」。自然体で飾らないキャラクターでも人気が急上昇している。
ラウンド中も笑顔を絶やさず、ギャラリーの声援にもこたえてしまう、親しみやすさ。最終ホールに近いプレッシャーのかかる場面でも、お菓子を取り出してポリポリ食べる自由奔放さ。ある意味、これまでにいないタイプの無名選手が一夜にしてスターに駆け上がり、海外メディアには「スマイル・シンデレラ」と名付けられた。