F1撤退を決めたホンダ 注目が集まる「勝てる技術力」の継承
2021年シーズンを最後にF1から撤退するホンダの後処理に注目が集まっている。
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会見するホンダの渡辺康治ブランド・コミュニケーション本部長(鶴田真也撮影)
パワーユニット(PU)の供給先となっているレッドブルがホンダのPUを含めた知的財産権を受け継いで22年に向けてPUを自社開発する可能性が報じられており、16日に会見したモータースポーツなどを担当する同社の渡辺康治ブランド・コミュニケーション本部長は「そういうような考え方については(レッドブル側から)意見をいただいた。具体的なことはまだ来ていない。できるだけ今後も活動も続けやすいよう協力を進めていきたい。(相手の)提案を待ってやれることはやっていく」と前向きな姿勢を示した。
ホンダがF1を撤退する理由として、将来のカーボンニュートラル実現に取り組むため、経営資源の集中が必要だと判断し、F1活動に携わる技術者を新設された『先進パワーユニット・エネルギー研究所』に振り向ける方針になったと説明している。カーボンニュートラルとは温室効果を助長する二酸化炭素を大気中に増やさないことで、電気自動車、燃料電池自動車などを利用して化石燃料に頼らないクルマ社会を目指すという。
ホンダのF1活動は今回が第4期プロジェクトと呼ばれているが、過去に撤退した際はF1に「遺産」が残った。1992年に終了した第2期はエンジンサプライヤーとしての参戦だったが、創業者の本田宗一郎氏の長男博俊氏が社長を務める無限が事実上、継承。ホンダからの技術支援も得てエンジン開発が続けられた。
2008年に活動を終了した第3期は、途中で提携していたBARチームを買収し、車体も自社製作するワークスチームとして戦ったが、リーマン・ショックの影響で撤退を余儀なくされ、チームを身売りした。
皮肉にも知的財産権を得た新チームのブラウンGPは翌09年に8勝を挙げてコンストラクターズタイトルを獲得。ホンダから移籍する形となったジェンソン・バトン(英国)がチャンピオンに輝いた。圧倒的な強さを誇る現在のメルセデスF1チームはブラウンGPの後継チームだ。