「ノムラ流とオレ流」対照的だけどお互いを認め合った野村克也と落合博光
野村氏は現役5~6年目に経験した打撃不調がターニングポイントだったという。「手がマメだらけになるくらいバットを振っても、打率2割5分そこそこ。苦手なカーブが打てなかった。長嶋茂雄のような天才はストレートでもカーブでも瞬時に対応して打てるのだろうが、そんな才能はない。悩んだ末に、今までよりもっと頭を使う方法を考えた。配球データを自分でつけ、相手投手のクセを探し、傾向がわかるとずいぶん狙い球が絞りやすくなった。データを武器にすることで打率3割の常連になった。勘ではなくヤマ張りで『5分』の差を埋めることができた」と講演会などで話していた。代名詞でもあるID野球に目覚めるきっかけの出来事だった。
ノムラ流とオレ流は、監督としての考え方も対照的だった。ともに日本一を経験しているが、落合氏は「頭で野球を理解させてから練習をした方が効率がいいというのが野村さんの考え。でも体力がなければ、いくら良いものを教わっても体が壊れる。だから俺は練習させて体で覚えてもらう。どっちが正しいのかは分からない。でも野村さんも俺の考えも分かるっていうし、俺も野村さんの考えも分かる。お互いにそれをするかっていえば、恐らくしないと思う」と話した。
野村氏は「落合は研究心も探求心もある。野球を見る角度が違うから、話を聞くのは新鮮だった」。落合氏は「野村さんの野球のやり方は、当時から言うと、ずっと俺らの先をいってた。もうちょっと自分の仕事を自分で考えなさいよ、っていうことを言いたかったんじゃないかな。どうやったら、うまくなるか。どうやったら、この世界で生きていけるか。自分で考えられないから教えたんであって、今度はそれを生かさなきゃね」。ノムさんのボヤキを代弁するかのようなオレ流のメッセージだった。
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[文/構成:ココカラネクスト編集部]