「結果が出ず、人が去っていった」投手の復活劇
栄光と挫折を味わったDeNA三嶋一輝インタビュー。2018年復活劇からの「去年の成績を証明する2019年」
2018年シーズンに自身最多60試合に登板し、救援ながらチーム2位の7勝をあげた横浜DeNAベイスターズの三嶋一輝投手。ワンポイントリリーフや回跨ぎ、ビハインドなど、あらゆる場面でチームに貢献した、頼れるリリーバーに話を聞いた。
長所を生かすために志願してのリリーフ転向
ルーキーイヤーの2013年には先発投手として6勝9敗、翌年には開幕投手に抜擢されるなど、未来のエースと有望視されていた三嶋選手。だが、期待されたプロ2年目の開幕戦では2回9失点。それ以降、「2014年から2017年の記憶があまりない」と本人が語るように、思うように腕が振れない日々が続き、4年間にあげた勝利数は7勝。その間に入団した後輩たちに追い越されていった。転機が訪れたのは2017年の後半。中継ぎとしてチームを救援するようになってからだ。
「2017年からリリーフをやって、次のキャンプの時に『先発とリリーフどっちをやりたい?』と聞かれました。それで、『中継ぎをやります』と自分で決めました。今までは先発として長いイニングを投げて結果を出したいと思っていましたけど、何かを変えないといけないと思ったので、中継ぎをやりますと伝えました。首脳陣は最初ビックリしていましたね。先発をやるのかと思っていたと言われました。」
志願してのリリーフへの本格転換。これが長い不調のトンネルからの突破口となった。
「自分の長所を生かすにはどうすればいいかを考えたときに、短いイニングで思いっきり投げることだと考えました。体全体を使って、投げっぷりの良さを見せたいと思いました。だから、2018年は覚悟して臨みましたね。チームには中継ぎのいい右ピッチャーがたくさんいるので、競争だと思って一試合一試合を必死で抑えにいきました。」
中継ぎとして臨んだ2018年シーズンはルーキーイヤーの輝きを取り戻した。150km台のストレートを連発し、60試合68回を投げて82三振を奪った。
「投げっぷりも、躍動感もここ数年とは違うと自分でも感じましたね。スピードに関しては2018年が一番出ていますし。投げっぷりや躍動感というのは出そうと思っても出せない時があるんですよ。技術的なところなのか、メンタル的なところなのか、体の状態なのかわからないですが、できていたものができなくなることがあるんですよね。僕の場合でいうと、躍動感がなくなっていましたね。だから、躍動感のある投球をするためにトレーニングや準備だったりと言うところをしっかりしました。結果として、2018年は60試合投げることができて、三振も以前より取れるようになりました。」
リリーフとして新たな役割を見出した三嶋選手。チームを支える中継ぎの軸として、覚悟はできている。
「中継ぎの場合、どこで投げるかは試合が始まらないとわからない部分もありますよね。負けていても流れを作ることができれば、チームが逆転してくれることもあります。逆に、勝っていても流れを悪くしてしまうと、逆転されて負けてしまうこともありますし。一球で試合をガラっと変えることができる。それだけ覚悟持って、準備をしていかないといけない。スイッチを入れてやらないといけないということを、1年間投げてみてすごく感じました。」