日本人と黒人選手の身体の使い方の違い 元アメフト・河口正史 連載
前回は時期的な事もあり欧米人サッカー選手の動きについてお話しさせて頂きましたが、私自身が黒人アスリートと自分自身の動きの違いに気がつくまでは紆余曲折がありました。
海外アメフトの挑戦は7年に渡りましたがシーズンは長くて4、5ヶ月、残りは日本でのトレーニング生活です。人生を賭けた海外挑戦をギャンブル的な感覚で毎年チャレンジ出来るはずも無く、自分自身の確固たる成長を長いオフの間に感じてからの毎年の再チャレンジでした。しつこかったと思います…。
とにかく身体をデカくすれば良いと思っていた
私の「アメフト人生=トレーニング人生」、海外挑戦初期の頃はバルクアップの追求に腐心しておりました。
わかりやすく「デカくて、強い身体」。ボディービル雑誌を読みあさり、とにかく筋肥大を求める毎日。「ベンチプレスが何キロ挙がった」、「腕周りが何センチになった」、「体重が何キロになった」、などなど…。
分かりやすいんですね、数字で表れるから…。
ジム内での数字が上がるに連れてフィールドでも2、3年の間はパフォーマンスアップを感じる事が出来ました。ただ一定の期間を過ぎるとジム内での数字の伸びに比例してフィールドでのパフォーマンスが上がっていかない…。
それでも、更に2、3年はやる事を変えずにひたすら「デカく、強い身体」を追い求めていました。バルクアップを求めることへの限界を感じ出した頃に、偶然出会ったトレーナーの方がいました。欧米人と日本人アスリートの骨盤の角度から来る姿勢の違いについてのレクチャーを受け、3ヶ月だけですが骨盤トレーニングを取り入れてみることにしました。
当時のトレーニングは簡単に言うと「骨盤を正しいポジションに持って来る事で、股関節を機能的に使いましょう」と理解してました。完全な「膝主導」の動きをしていた私からすれば「目から鱗」でした。
黒人選手の動きの秘密を分かったつもりでいた…
たった3ヶ月のトレーニングで劇的な変化が見られました。
当時は股関節主導の動きを手に入れて「黒人選手の動きが分かった」と思い込んでいました。
ただ、股関節主導で残りのアメフト人生を過ごす中で「どうにも股関節だけでは説明がつかない動きを黒人選手はしている」と悶々としたまま引退の時期を迎えました。
その後、導かれるようにトレーナーという仕事に就き、一年程経った時に「仙腸関節」の存在を知った時に「黒人はここを動かしているのではないか?」と仮説を立てたところから全てが動き始めました…。
現役時代は存在する知らなかった仙腸関節…。
一体何がどのように動き始めたのかは次回以降お話ししたいと思います。
元NFL・河口正史さん パーソナルトレーニングジム「JPEC」(東京・白金/恵比寿)体験90分 4,800円
クアトロコアで「日本を本当のスポーツ大国に」
[文:JPEC SHIROKANE 代表取締役 河口正史]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
河口 正史(かわぐち・まさふみ)
日本人アメリカンフットボール選手の海外挑戦の道を切り開いたパイオニア的存在。海外リーグでの経験を基に日本人と欧米人のカラダの使い方を研究し、「4xCORE(クアトロコア)」メソッドを開発。
プロスポーツ選手、モデルをはじめ、600名以上(※2017年9月時点)に正しい姿勢とカラダの使い方を 指導し、パフォーマンスの向上に貢献している。
<経歴>
・サンクリメンテ高校にてアメリカンフットボールを始める
・立命館大学ではアメリカンフットボール学生日本一に貢献
・アメフット日本代表にも幾度も選出され、卒業後はNFLヨーロッパに渡り活躍
・NFLチーム「サンフランシスコ49ers」のキャンプに参加
・引退後、独自のトレーニングメソッドを世の中に普及すべくトレーナーとして活躍中
・NFL解説者としてNHK、G+などで試合解説も行なっている