「平成の大エース」・斉藤雅樹、時代を築いてきた野球論〜中継ぎから先発転向、11試合連続完投勝利へ〜
−−先発に抜擢した藤田監督の思惑は何だったのでしょうか?
斉藤:「こいつはできる」と思ってくれていたのかもしれませんね。でも、僕の中では自信があったわけではないです。でも、投げていくうちに自信はついてくるじゃないですか。やっぱり、成功体験をたくさんしないと自信にならないです。いくらいっぱい投げたからかといって、失敗すれば気持ちも落ちてしまいます。だから、その時も開幕2戦目に先発で出てまずまずやれたので、「今年はいけるな」と思えました。
−−成功体験が自信になっていったということですね
斉藤:ただ、5月の頭の広島戦で先発出場し、1回だか2回だか早い段階でやられてしまったんです。「これはやばい」と思いましたね。でもそういう時に、藤田さんは普通ローテーションだったら中5日とか6日とか空けるのに、中2日か3日くらいで行け、と言ってきたんですよ。それがどういう意図だったのかわかりませんが、言われた通り先発で投げたんです。それからが11連続完投勝利のはじまりです。その11連勝の始まりとなった横浜戦も、リードしていたのに8回にピンチを招いて、「交代した方が勝てるのにな」って思っていました(笑)。でも、交代してくれなかったですね。それで9回もいって、1点差で完投しました。そしたらやっぱり気分も良いじゃないですか。そこからは完投で勝っていきましたね。
−−藤田監督は逃げさせてくれなかった
斉藤:そうですね。逃げないで勝つことができたからこそ自信になったと思います。でも、勝ち続けていったら続けていったで、いつかはやられるだろうなとも思っていました(笑)。でも、そうやって思ってずっと投げていましたけど、なんか上手くいった、という感じですね。
−−最後、12試合連続完投勝利がかかっている試合はどうでしたか?
斉藤:阪神戦ですね。その時は自分のミスでバント処理をセカンドに暴投したのかな?そんな感じで結局負けちゃったんですよね。
−−負けた時はどのような心情でしたか?
斉藤:こういう日も来るよね、という感じでしたね。確かそれがオールスター前の最後の登板だったと思うので、気分転換じゃないですけど、ちょうど良かったのかなと思っていました。
今尚、色褪せることのない11試合連続完投勝利の記録。そこからさらに進化を続けることになる「平成の大エース」を覚醒させた恩師の言葉、一般社会にも通ずる哲学は次回配信予定。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]