“怪物”を軽んじる風潮を許さず! 重鎮アラム会長が強く訴えた井上尚弥批判への異論「馬鹿げている」
だからこそ、自身が丁寧に価値を高めてきた「怪物」を軽んじる風潮は一切許さない。
数週間前、井上の価値を巡って一つの論争が起きた。「ボクシング界で、世界最高のスターになりたいならこっち(米国)での試合が必要だ」という元世界ウェルター級王者2団体王者のショーン・ポーター(米国)氏の発言をきっかけに、米国内では井上の積極的な国外進出論が噴出。上から目線とも取れる提言がハレーションを広げ、5戦連続で日本開催を続ける日本人王者に対する批判的な意見も目立った。
そうした国内での井上の実力や価値を軽んじる風潮を「Ridiculous(馬鹿げている)」と一喝したアラム会長は、「私の視点で言わせてもらうと、日本国外でイノウエが試合をするというのはありえない話だ」と断じた。
「日本国内で、あれほどの人気と強さを誇る選手というのが他にいない。それから、今現在、日本という国は、軽量級の中心になっている。私から言わせてもらうと、イノウエが日本から出て試合をするのは、『一体何のためなんだ?』と聞きたい」
言葉に強弱をつけながら淡々と続ける独特の話し方で、井上の凄みを論じたアラム会長は、さらに続ける。
「覚えておいてほしい。ボクシングはプロフェッショナルなスポーツなんだ。野球のようにね。ショウヘイ・オオタニがアメリカにやってきて、ドジャースに加わった理由の一つには、大きな契約があったと思う。そう考えても、イノウエにどういうオファーがあるかというところから動き始めるというのは当然のことだ」
終始、井上を褒めちぎったアラム会長。百戦錬磨のレジェンドプロモーターに、ここまで言わしめる「怪物」は、やはり偉才だ。ゴングが迫る東京ドーム決戦のパフォーマンスにも期待をしたくなる。
そして、遠路はるばる日本へやってきて、丁寧に取材に応じる。そんな衰え知らずのアラム会長の仕事ぶりにも、つくづく脱帽である。
[文/取材:羽澄凜太郎]
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