なぜ井上尚弥はPFP1位に返り咲いたのか? “クロフォード1位”が崩れたワケを米記者たちが指摘「正気の沙汰じゃない」
PFP1位に君臨した井上。彼がクロフォードを越える評価を得る理由は何だったのか?(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
日本が生んだボクシング界の偉才が栄光を掴んだ。
現地時間5月9日、世界で最も権威あるボクシングの米老舗専門誌『The Ring』は、階級を超えた格付けランク「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」最新版を公表。世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)を1位に浮上させた。
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全17階級あるボクサーの実力を比較し、体重差がなかった場合の最強選手をランキング化したPFPは、各媒体で展開されているものの、同誌のそれが「世界で最も価値がある」とされている。井上は今月6日に東京ドームで行われた元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)との防衛戦に6回1分22秒TKO勝ち。4万3000人の観衆を熱狂させ、約1年9か月ぶりにトップに返り咲いた。
ウェルター級の3団体統一王者であるテレンス・クロフォード(米国)や、WBAスーパー、IBF、WBO世界ヘビー級統一王者のオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)らを退けての1位選出となった井上。では、『The Ring』は、彼のどこを評価したのか。
同誌の元編集長で、選考の委員会の一人であるトム・グレイ氏は「バド(クロフォードの愛称)とウシクは、この10年で共に4勝0敗。一方でイノウエは8戦8勝(8KO)だ。リング上の実績で2人に勝るとも劣らない」と強調。そして、こう続けている。
「ネリ戦の勝利は、イノウエのベスト3に入るパフォーマンスだったと思う。ダウンから立ち上がり、即座にアジャストした方法は正気の沙汰じゃなかった。ソーシャルメディアが発達した今の世界では、『イノウエはダウンされたから良くない』と言うファンもいる。だが、反論だ。ボクシングにダウンはつきものだ。大事なのはどう対応するかだ。あれ以上に優れた反応は他にはなかった」