凡戦続きのボクシング界の「口直し」 衝撃ダウンから始まった井上尚弥の防衛劇を米リング誌も絶賛「年間最優秀候補となる白熱試合」

試合後にはカルデナスとの2ショットに応じた井上。(C)Getty Images
観ている側を滾らせる一戦だった。現地時間5月4日、米ラスベガスのT-モバイルアリーナで行われた世界スーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチ12回戦で、統一王者の井上尚弥(大橋)は、WBA同級1位のラモン・カルデナス(アメリカ)と対戦。8回45秒TKO勝ちを収めた。
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中継の音声が割れるほどの歓声がこだました試合を大いに盛り上げたのは、井上のタフさだった。2回に打ち終わりを狙ったカルデナスのカウンターからの見事な左フックを受けてダウンを喫したモンスターは「ボクシングは甘くない」と猛省。そこから徐々に手数を増やして主導権を握り返すと、7回には猛ラッシュから右のショートカウンターでダウンを奪取。これで完全に守勢となった挑戦者を見るや、一気呵成に攻め立てて、8回にふたたびのラッシュで試合を終わらせた。
終わってみれば、ダウンを喫した2回以外はジャッジがフルマークとした完勝だった。そんな井上の“絶対王者”としての真価を目の当たりにした一戦には、ボクシングの老舗メディアもただただ脱帽する。
1922年に創刊された米ボクシング専門誌『The Ring Magazine』は「ナオヤ・イノウエとラモン・カルデナスの試合は、ボクシング界にとって完全なる口直しとなった。それは切実に望まれ、率直に言って要求されたものだった」と強調。5月2日にニューヨークで元WBC世界ライト級暫定王者ライアン・ガルシア(米国)が0-3判定負け、翌3日にはサウジアラビアでスーパーミドル級王者サウル・”カネロ”・アルバレス(メキシコ)が「凡戦」と揶揄される内容で2度目の4団体王座統一成功をするなど、この週末のメガマッチが賛否両論を呼んでいたことをふまえて、井上の試合が興味深いものであったとした。