米国も認めた日本の傑物が生む“娯楽性” 井上尚弥の存在価値を現地記者が熱弁「終焉を予想するよりも、今を楽しむべき」

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カルデナス戦も圧倒して勝利した井上。その強さは米国内でも広く知れ渡った。(C)Getty Images

 井上尚弥(大橋)は守り抜いてきた王座を防衛するとともに、“ボクシングの本場”で己の価値を証明した。

 ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者に君臨する井上は、現地時間5月4日に米ネバダ州ラスベガスで行われたWBA世界同級1位のラモン・カルデナス(米国)との防衛戦に勝利。世界戦通算23KOで歴代最多記録を77年ぶりに更新した。

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 2回終盤、打ち終わりにカウンターの左フックを受け、まさかのダウンを奪われた。しかし、井上は「ボクシングは甘くない」と奮起。手数が増えて主導権を握った4回からはカルデナスを圧倒し、8回に猛ラッシュでTKO勝ちを収めた。

 両雄がアグレッシブさを貫いた好戦的な試合の中で、最後は快哉を叫んだ井上。そんな日本人王者の姿はさまざまな反響を生んだ。無論、激闘の舞台となった米国内に批判的な意見がないわけではない。やはりダウンを喫したという事実に目を向け、その地力を疑問視する声もあるにはあった。

 しかし、それ以上に目立ったのは、ダウンを奪われてから守勢に回らなかった井上のファイトスタイルへの賛辞だ。米専門メディア『Boxing Scene』のオーウェン・ルイス記者は「ダウンを奪われて以来、イノウエをまるで儚い花のように人々が語るのは面白い」と皮肉を展開。「たしかにネリとカルデナスの左に打たれたが、イノウエのボクシングを見たことがある人、あるいは彼の話を聞いたことがある人なら、彼が打ち合いを好むことを知っているはずだ」とし、ダウン覚悟の戦いを選択している王者を称えた。

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