松田宣浩が見た「日本シリーズ」。MVPは杉本、吉田正ではなく「意外なあの選手」
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オリックスの4勝2敗で幕を閉じた今年の日本シリーズ。実に26年ぶり5回目の頂点に輝いた関西の雄が、ヤクルトとの熱戦を制した要因は何だったのか。福岡ソフトバンクホークスで6度の日本一に輝いた、松田宣浩に話を聞いた。
数々の歓喜を味わった名手が『鍵』を握ると見ていたのは、両チームの主軸打者だった。
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「ヤクルトは山田哲人と村上宗隆、オリックスは杉本裕太郎と吉田正尚がどれだけ打てるか。短期決戦でマークされる中でも、打てたほうが勝つと見ていました」
その言葉どおり、試合を重ねるごとに調子を上げていったオリックスが優位に立ち、2連敗から始まりながらも、終わってみれば4勝2敗。杉本は第6戦で決勝の右前適時打、第7戦ではエラー絡みではあったが、5回2死満塁の場面で左中間へ運び、3者をホームへ迎え入れた。一方の吉田正は、第5戦でサヨナラ2ランを含む1試合2本塁打を放つなど印象的な働きを見せている。
それでも、松田が選んだMVPは、この2人ではない。
「僕が選ぶなら、MVPは太田椋選手。最後の2試合で1番を任された。あそこで急に固定されて、その期待に応えた。日本シリーズで初球ホームランは初。あれは大きかったと思う。先に言ったように両チームの主軸がカギを握ると思っていたけど、やっぱり最後に頑張った太田がMVPだと思う」
日本シリーズという短期決戦は、結果がすべてだ。百戦錬磨の松田だからこそ、なおさらその重要性を知っている。
「結局は、どこで打つか。チームを勝たせる結果を出せた選手が評価されるべきだと思う。短期決戦はリーグ戦とは別物ですからね。チームの勝利に、どう力になれたかが重要。例えば、10割打っても負けたら何も報われない。全然打てなかったけど、大事なところで打って、それが日本一につながったら大きい」
オリックスの太田は第6戦、第7戦と1番打者を任され、打線の流れを作った。第7戦の見事な初球ホームランは、今後も長く語り継がれることだろう。