断トツ最下位から2位に躍進した要因 ヤクルト退団コーチが語る2
ベテランが葛藤しながらも頑張る姿がチームにいい影響を与える
――前回の記事で個人的MVPは青木選手と言っていましたが、他の野手についてはどうですか?
野口:グッチ(坂口)には本当に感謝しています。外野手でゴールデングラブ賞を何度もとるレベルの選手なのに、チーム事情でファーストの守備をしてもらって。グッチも葛藤は絶対あったはずなんですよ。キャンプの時にファーストをやってくれって言われて。それでも嫌な顔一つせずに、練習を一生懸命やって、チームに迷惑かけないようにってやってくれている。ベテランの域に入る選手が葛藤しながらもチームのために頑張ってくれている姿をみんな見ているから、チームにもいい影響を与えてくれている。それでいて打つ方はキャリアハイに近い数字。グッチは本当に偉いし、すごいと思っています。グッチも体が痛くても絶対休むって言わない。オリックスから自由契約でやってきて、ヤクルトには拾ってもらった恩義があるみたいで、そういう思いが出ているんじゃないかなと思います。
――野手も期待の若手が育ってきていますね
野口:廣岡は素材的には素晴らしいです。でも、もう一つ殻が破けない。一生懸命やる子だからこそ、周りの人に言われたことが全てになってしまうところがある。三年目で若い選手だから仕方ないけれど、自分の中で何を取り入れるか入れないか、上手く判断していけるようになってほしいですね。それができるようになってきたら、きっと覚醒しますよ。彼の場合は打てなくなると守備にも影響しますからね。調子がよくて打っている時は守備もエラーしないですからね。打つことが良くも悪くも守備に影響しているように思います。ああいうスケールの大きい選手はとても魅力があるし、ヤクルトの将来を背負って立たないといけない選手ですね。
――昨年のドラフト1位の村上選手も期待です
野口:去年のドラフトの1位がキャッチャーだったので、正直焦りましたね。責任重大だなって(笑)。サードに村上、ショートに大志、セカンドに哲人となったらすごく夢がありますよね。近未来じゃなくて、近いうちにそうなって欲しい。奥村とか若い選手たちが競ってくれれば、もっと底上げになってくると思う。
――チームの雰囲気も良さそうですね
野口:奥村はものすごくムードメーカーで、沈んでいる時に声を出すことができるタイプ。もっと数字面でも実績を積んでいって、チームを引っ張る存在になってほしいですね。チームとして全体的によく声を出していると思いますけど、何と言っても上田剛史。いいキャラしていますね(笑)。能力的にもいいものを持っていて、シートノックとかを見ていると惚れ惚れしますよ。足も早いし肩も強いし、外野手として見たら他のチームと比較してもトップクラスなんですけどね。上田や奥村、廣岡や村上といったまだまだレギュラーに定着できていない選手たちには、青木や坂口といったベテランの選手の頑張りを見て何かを感じ取って欲しい。若手がさらにレベルアップして躍動してくれることが、これからのヤクルトの強さになっていくと思います。
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