なぜ高校スポーツ報道の中で硬式野球だけが特別扱いされるのか
「絶対に納得いかないんですけど」
こう不満を述べるのは、関東の県立高校で、とある球技の部活動に所属した3年生の男性部員です。
「コロナでインターハイが中止になって、全国の舞台に出るんだという目標が失われたのは、僕たちも一緒です。親にも協力してもらい、一生懸命やってきたのに、中途半端に終わってしまった無念もあります。でも、マスコミは野球部ばかり特別扱いして、感動ドラマを報じ続ける。おかしくないですか?」
確かに春夏の甲子園大会が中止になり、涙に暮れた高校球児たちの姿は、コロナ禍の今年を象徴するシーンとして報道されました。さらには『夏の選抜大会』が開催されることになると、NHKやBS朝日が完全生中継。夏の各地方の『代替大会』にも新聞各紙のスペースが割かれ、青春の熱きエピソードが載りました。
それでは、他の部活動に生徒たちの葛藤や決断、師弟愛や親子のドラマはなかったのかといえば、それぞれに熱い裏話がたくさんあったはずです。
前述の生徒は言います。
「だいたい、普段から野球部が別格なのがおかしいんですよ。広いグラウンドを使って練習するし、公式戦は全校応援で学校行事の一つに組み込まれている。結果はすぐにネットニュースになって、仲間内のSNSでバズったりしています。メディアの姿勢って変じゃないですか?」
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