F1参戦4年目で初優勝を果たしたピエール・ガスリー 日本人ファンが肩入れしたくなる理由とは
赤旗中断の大波乱を味方につけてガスリーがトップを快走(ホンダ提供)
ガスリーはレッドブルの育成ドライバーながら、GP2を制覇した後にジュニアチームのトロロッソ(現アルファタウリ)入りを果たせず、17年は「F1浪人」のような形でスーパーフォーミュラへの参戦を余儀なくされた。
その年にはF1の3チームが介入する選手人事で、シーズン途中からトロロッソでF1デビューを飾ることができたのが、19年に念願だったトップチームのレッドブルに昇格してつまずいた。今度はレッドブル首脳陣からパフォーマンス不足を指摘され、自身がシーズン途中にトロロッソへと降格するという屈辱を味わった。ここまでいわば「都落ち」と「左遷」の2つの悪夢を経験したわけで、彼にシンパシーを抱く現場関係者も多い。
その才能は日本時代から折り紙付きだった。圧巻だったのは17年のスーパーフォーミュラ開幕前に富士スピードウェイで行われた合同テスト。初コースながら2番手タイムをマーク。シリーズ用マシンの走行経験が少ない状態で、富士を何度も走っている他の選手を蹴散らしてしまった。
しかも、合同テストでは降雨に伴い、初めてヨコハマ製の雨用タイヤを装着したものの、そつなく乗りこなし、「ドライとウエットの両方を走れたので、とても面白かった」。群を抜くのみ込みの早さをひけらかした。その年は最終戦が台風接近による荒天で中止となり、チャンピオンこそを取れなかったものの、6戦を走って2勝をマーク。堂々のシリーズランキング2位を獲得した。
アルファタウリのスタッフも大喜び(ホンダ提供)
ホンダにとっては第5戦70周年GP(英シルバーストーン)で今季初勝利を飾ったフェルスタッペンに続いて計2勝。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で今年の日本GPが中止になってしまったことが何とも残念なところだ。昨年の大会でもグランドスタンド裏のイベントステージでトークイベントが行われたが、ガスリーの人気はフェルスタッペンに匹敵するほど高く、今年、鈴鹿に凱旋(がいせん)していたら、フェルスタッペンをしのいでいたかもしれない。
優勝したイタリアGPを含めて入賞は今季5回を記録しており、アレクサンダー・アルボンに代えてレッドブルに再昇格させようという機運も高まっている。70年の歴史を持つF1世界選手権で優勝者はわずか109人しかいない。その一員になれたことで、評価はさらにうなぎ上りだ。
[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]
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