「強いチームは自滅しない」三河リッチマンHCが見据える“常勝軍団”への道 重視する「競争力のある規律」の真意とは

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リッチマンHCは「意識を向けるべきはあくまで自分たち」と語る©SeaHorses MIKAWA co.,LTD.

ーーチームスポーツではよく相性の悪い相手というものがありますが、様々な選手を抱える三河の場合はそれがないようにも思えます。

 そうですね。三遠ネオフェニックスとの対戦で私たちはマッチアップの問題が少しだけあったようにも感じられましたが、それでもそれが重大なものだったとは思いません。とりわけ、アヴィ(シェーファーアヴィ幸樹)の存在が大きいと思いますね。彼は最高の日本人ビッグマンだと思っています。彼がいることでチームとしても異なることができますし、対戦相手の大きな帰化選手ともマッチアップができますし、外国籍選手を守ることができます。

ーーNBAやGリーグでコーチをしていたアメリカ出身のリッチマンHCにとって、環境が大きく異なる日本のBリーグでの初年度となった2023-24シーズンは学びの期間でもあったかと思います。2年目の今シーズンはその学びの期間はすでに終えたとお考えですか?

 Bリーグではいつタイムアウトを取るかなど、NBAとFIBAルールでは多くの異なる点がありますし、昨シーズンは私にとって非常に大きな学びの過程となりました。また環境面においても、日本という異なる言語を話す国に来て、この環境に順応する必要もありました。

 ただ、まだ学びの期間が終わったとは思っておらず、まだまだ順応すべきことはたくさんあります。今でも日々、学んでいますし、学ぶ姿勢が終了を迎えることはありません。私自身が一生学びを止めるつもりがないというところに自負を持っています。物事にはどうやって対処すべきかと日々、考え、そして成長していくこと、よりよいコーチとなるにはどうすべきか考え続ける姿勢を持ち続けたいのです。試合では勝敗にかかわらず「こうしておくべきだったかもしれない」と考えることはよくあります。

 バスケットボールの勝敗は最終盤で決まると思われがちですが、その最終盤に至るまでには様々なことが起きていて、その要素が最終盤に影響しているのです。日々の学びの中から、よりよい判断ができるようにと努めています。

ーーリッチマンHCは昨シーズン、チーム全体に対して「身体状態を世界レベルに保つ」「責任感を持つ」「強靭さ・粘り強さ + 競争力・競争心」「団結・結束 + 喜び」といったアイデンティティを共有していますが、今シーズンは「競争力のある規律」「結果、成果に対する責任」「信頼」「よろこび」とアップデートしています。今シーズンのアイデンティティはどのように考えたのでしょうか?

 今年のアイデンティティは昨シーズンに似たところはありますが、今シーズンの私たちは「どうすれば次のステップを踏めるか」「どうすればチームのブランドをより明確なものにできるか」といったところが思考の中心にありました。

 いくつかある言葉の中で最も強調しているのは「競争力のある規律」です。私を含めて昨シーズンの私たちは審判や対戦相手のコーチや選手などに気を払いすぎていました。今シーズンはそうではなく、もっと自分たちに意識を向けながらどうすればチームが良くなるか、コーチの私もどうすればもっとチームの助けになれるかを考えようじゃないかということで、このような言葉としました。

 意識を向けるべきはあくまで自分たち。自分たちがコントロールできることに集中すれば自ずと成長はついてきます。私の中で、本当の強いチームというのは自滅をしないチームで、自分たちを律することができています。私たちも目指すのはそこです。

ーーその「自分たちに意識を向ける」ということを実際、選手たちは実行できていますか?

 自分たちがコントロールできないことを考えないなど、非常によくできていますよ。選手たちにとっても当然、物事がうまく運ばないときはあります。そういう時、いかに自分を律しながらできることだけに集中するかは大きな挑戦です。それができるチームは強く、そのチームのコーチはいいコーチであると言えると思います。

ーー三河は現在、中地区の3位につけています。この地区は今シーズン、他地区から強豪が移ってくるなどより厳しさを増していますが、戦っていてどのように感じていますか?

 この地区が厳しいものであることには賛同します。ただ、私たちはどの地区にいようと言い訳をしないようにしています。自分たちの仕事に集中するのみです。強豪との試合は確かに多いですが、私たちは自分たちのやるべきことに、自分たちがどうすれば成長できるかだけに集中しています。そして、どの試合も大事なものです。地区内のチームとの対戦は当然、重要であることはわかっています。ですが、それ以外のチームとの対戦も同じく大切なものです。どの試合も、私たちのチームのアイデンティティをより強固なものにしていくにあたって意味のある試合なのです。

 この地区で戦うことの利点は、プレーオフに出場できた時の準備ができるということです。ここでプレーをすることで私たちは毎試合、自分たちの実力を試されていると思います。

ーー来日してから2シーズン目のリッチマンHCではありますが、Bリーグは日進月歩の成長を見せていて、年々、強豪チームとそうでないチームの差は縮まっています。2連戦で連勝を飾ることも難しくなっています。その点についてはどう感じていますか?

 簡単な試合などはありませんし、Bリーグは世界でももっとも競争の激しいリーグだと感じますよ。ただ、私たちとしては戦うのは対戦相手というよりもあくまで自分自身です。「このチームは何勝しかしていないから簡単に勝てるな」などという考えはありませんし、実際、簡単な勝利などはありえないのです。

 シーズンで40勝、50勝をあげることももちろん大変ですが、その前に1つの勝利をあげることが簡単なものではないのです。勝利を収めるためには様々な努力をしてようやく達成できるものです。対戦相手が誰であろうとです。

 そして昨シーズンの最後の1試合を勝つか負けるかで、私たちはプレーオフ出場の可否が変わっていました。結果、私たちは勝利することができ、ポストシーズンに進出することができました。願わくは、今シーズンはそこまで薄氷の思いとならないようにしたいものです。ただ、私たちが集中すべきは残りの124日間で最大限の努力をすることだけです。

 選手たちにはこう伝えました。このグループで戦えるのはあと124日間しかないのだと。三河は昨シーズンから多くの継続性を持って今シーズンを戦ってはいますが、それでも多くの変化があったことも事実です。プロスポーツでチームの全員が、1人残さず次の年も戻ってくるというのを私は見たことがありません。ですから、今いるグループで最高のものを出すことに注力していますし、それが実現できる手応えはあります。

ーー昨シーズンの三河はプレーオフには進出できましたが、クォーターファイナルで名古屋ダイヤモンドドルフィンズに敗れシーズンを終えました。その悔しさが今シーズンを戦う力となっているところはありますか?

 そうですね。選手たちのモチベーションは確かに高いですし、とりわけ名古屋Dとの対戦ではそう感じます。名古屋Dとのシリーズが終ってロッカールームに戻った私たちは、アリーナ内から名古屋Dが勝利を喜んでいる声などを聞いて打ちのめされていました。名古屋Dには2連勝をされてしまいましたが、いずれも非常に激しい戦いでした。私たちはそこから多くを学びましたし、今シーズンも自分たちをハングリーでいさせてくれています。

ーーその名古屋Dとのクォーターファイナル後、リッチマンHCは「シーズン前には誰も三河に大きな期待を抱いていなかったが、もはや誰も自分たちのことを無視できなくなる」と話したのを覚えています。今シーズンを戦ってきた、対戦相手が三河のやることをより研究してくるなどの変化などは感じていますか?

 すばらしい質問です。確かに、三河に対する期待は間違いなく高くなりましたし、それこそが私たちが目指していたものでもあります。対戦相手が私たちとの戦い方がわかるようになっているかどうかはわかりませんが、少なくとも彼らが私たちを倒すのが容易なことでないと感じているとは思います。

 昨シーズンは、三河がそこまでいいチームだと思っていなかった対戦相手がいたようにも感じますが、今はどのチームも私たちが良いチームであると知っています。私たちは現在、リーグで5番目の戦績を収めているチームで、対戦相手からすれば私たちとの対戦は大きな挑戦になっているはずです。昨シーズンは8チームのプレーオフチームの1つでしたから、彼らにとっては倒さねばならない相手となっているのです。

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