問われるサウジ移籍の是非 強まる批判も気にしてられない“助っ人のリアル事情”「稼ぐことのどこがいけないんだ」
高校は中退した。
幼い頃から家族を養うためにサッカーボールだけを懸命に追い続け、何とかプロサッカー選手となったスピリドノヴィッチ。彼は「小さい頃は貧しくて、何もなかった。自分の身は自分で守らなきゃいけなかった」という。そんな選手はおそらく各国にごまんといる。
ゆえに目が眩むほどのオファーを受ける選手たちを一概に批判できない。彼らには生きていくための事情があるのだ。スピリドノヴィッチは言う。
「僕らサッカー選手の全員が誰もが思っているほどの良い人生を送っているわけではない。僕の前には常に障害があったんだ。スポーツカーをいくつも持つつもりはない。それは僕には関係のないことだ。でも、将来はいま稼いだお金で暮らせるようになりたいと思うよ」
サッカー選手の苦労を痛いほど知るからこその本音だ。スピリドノヴィッチは「僕だって4大リーグのどこかにいるのが夢だった。でも、現実的には僕らはただの労働者だ。とにかく僕らがサッカー選手にとって重要なのは、どんな賞を獲得したかではなく、いくら稼いだかだ」とも漏らしている。
家族のより良い生活のため――。そのキャリアで8か国10クラブを渡り歩いてきた苦労人の言葉は実に重い。もちろん、あらゆる差別などの問題は追及すべきだが、サッカー選手たちがそれぞれに抱えている事情にも、冷静に目を向ける必要がありそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
【関連記事】止まらぬサウジの“スター爆買い”を批判して処分に 国内若手選手の主張が物議「この状態を国民はどう思うんだ?」
【関連記事】森保ジャパンを「過小評価した」 トルコの識者たちが母国代表に憤怒「日本をリスペクトしないなんてありえない!」
【関連記事】「クボの虜だ」サウジの“誘惑”を絶った久保建英の躍動に海外紙の賛辞続々!「夢を叶えるために『生涯保証』を拒否した」