2度目の黒船襲来はあるのか?!敏腕代理人・ボラス氏が手掛けた、メジャーのドラフト直前にソフトバンクに電撃入団させた投手のその後は?
第2のスチュワート・ジュニアは現れるのか。メジャーリーグのメッツと契約破談したドラフト1巡目(全体10位)指名選手、クマー・ロッカー投手(バンダービルト大)の去就がにわかに話題だ。
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ドラフト後の身体検査で右腕の状態に何らかの問題があることが発覚したという。ロッカーは100マイルに迫る剛速球で一時はアマチュア球界最高の逸材とも騒がれたが、近年は球速に低下傾向がみられていた。メジャーではこうした理由で上位指名選手との契約を見送るケースもまま見られる。代わりにメッツは翌年のドラフト補償指名権を得られる。
注目される理由はロッカーの代理人をスコット・ボラス氏が務めているから。同氏は2019年のドラフト直前に、上位指名が有力視されていた東フロリダ州立短大のカーター・スチュワート・ジュニア投手を、電撃的にソフトバンクへ入団させたことで知られている。
スチュワートはその前年2018年のドラフトでブレーブスから1巡目(全体8位)指名されていた。だが、指名後の身体検査で右手首に異常が見つかり、契約破談に。東フロリダ州立短大に進み2019年ドラフト指名を待つ立場にあった。一方で評価は前年より落としており、指名順や契約金額は下がるのではという会議直前での見方もあった。結局スチュワートはソフトバンクと6年総額700万ドル(約7億7000万円)という大型契約を結び、米国のアマチュア球界の大物がNPB球団に直接入団するという前例のない事態となった。
スチュワートの入団はいくつかの事象を示唆した。現在のメジャー球界の構図では、若手選手が巨額の年俸を手にすることができない。メジャーデビューするまでにマイナーでの下積みで2~3年を要し、デビュー後も3年間は年俸調停権利を得られない。その間、メジャー最低年俸に近い金額に制限される。巨額年俸を手にするFA権を手にするにはメジャーで6シーズン過ごす必要があり、各球団は少しでもFA取得を遅らせるべく、デビューさせる時期については思案を巡らせているのが現状だ。
ボラス氏にしてみればこうした慣例に一石を投じたかったのかもしれない。スチュワートはソフトバンクでの6年契約を満了すれば、FA選手としてメジャー球界に改めて乗り込み、巨額の契約を手にすることができる可能性がある。少なくとも、メジャー球団に直接入団し、下積みを経て、といったことを重ねるよりも若い年齢でだ。過酷な条件のマイナー球団よりも、ソフトバンクのような日本の洗練された球団の方が育成システムは進んでいる、と指摘する声もあった。