今季引退のロッテ・伊志嶺コーチが少年時代にイチローさんに教わった事とは?【千葉ロッテ選手が大切にDOする言葉】
「挨拶はしっかりとしなさい」。今季限りで9年に及んだ現役生活に別れをつげ、コーチに就任した伊志嶺翔大が今も胸に刻んでいる言葉だ。
それは小学校2年の時の出来事だ。地元・宮古島では毎年春にオリックスがキャンプを張っていた。当時のオリックスのスーパースターといえば言わずと知れたイチロー。野球にのめり込んでいた伊志嶺少年もまた、大ファンだった。
当時を思い出すように空を見上げる伊志嶺コーチ (c)千葉ロッテマリーンズ
伊志嶺少年がイチローに教わった事
とある日、オリックスのキャンプを見学に行った。目的は憧れのイチローからサインをもらうこと。だから練習が終わるイチローを室内練習場の近くで待ち構えていた。陽が沈みそうになった時、お目当てのスーパースターは颯爽と姿を現した。
「サインをください」と色紙を差し出すと気軽に応じてくれた。嬉しさのあまりに受け取るとすぐさま立ち去った。するとイチローに呼び止められた。
「ちょっと待って。もらった後はちゃんとお礼を言わないとダメだよ」
この言葉が30歳を超えた今も鮮明に残っている。
憧れのスーパースターはサインをもらったお礼を言わずに立ち去ろうとした自分を呼び止め、お礼、挨拶の大切さを教えてくれた。幼い心にも自分の行いが間違っていたこと、そして伝えてもらった言葉の価値はすぐに理解できた。忘れることの出来ない出来事であり、その後の人生を変えた。
「ボクは子供の時にイチローさんに言われたことを今も覚えている。本当に感謝をしていますし今でもあの時、お礼を言わずに立ち去ろうとした自分の事を想うと恥ずかしくなります。嬉しさのあまり舞い上がって立ち去ってしまったんですよね。それからは大きな声で感謝の気持ちを伝えることを大事にしてきました」
コーチとして鴨川での秋季キャンプに参加をしている伊志嶺は懐かしそうに当時を振り返った。