大隣憲司コーチが小久保さんに怒られて気付いた事 【千葉ロッテ選手が大切にDOする言葉】

タグ: , 2019/2/22

 指導者としての第二の野球人生が始まった。

 昨年、現役を引退した大隣憲司は今年から千葉ロッテマリーンズの二軍投手コーチを務めている。プロ通算141試合に登板をして52勝。12年には12勝を挙げ、オールスターにも出場した。13年にはWBC日本代表入り。そんな実績を持つ大隣は二軍の若手選手に自分自身を見つめ直してもらう事をテーマに掲げ指導をしている。

 「自分としてはどういう風に自分のスタイルを気付けるように導けるかなと考えています。大事なのはやはりまずは自分がどういう投手で、何が一番の持ち味であるかを知る事。自分がそうだったように若い子たちもまだまだ見えていない子が多い。どうやって気付かせてあげようかなと考えています」

(c)千葉ロッテマリーンズ

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小久保さんに怒られて気付いた事


 自分がどんな投手で、何が持ち味であるかを知る事。それは自身の苦い思い出とその時に大先輩から言われた一言が今も胸に残っているからこその考えだ。

 12年間のプロ野球人生で大隣が決して忘れずに肝に銘じているのはホークス時代の2009年8月4日でのマリーンズ戦(当時 福岡ヤフードーム)の試合の事だ。

 「マウンドで一塁を守っていた小久保さんに怒られたんです。でも、あれがあったからその後の自分がある」

 その試合でホークス打線が爆発し、8点を援護。投げては13奪三振を奪う好投で九回を迎えた。リードは6点。誰もが大隣のそのシーズン初となる完投勝利を期待していた。しかし、現実は期待を大きく裏切るものだった。あと3アウトで試合終了の場面で3連打1失点。慌てた首脳陣は当時、中継ぎを務めていた攝津正投手に急きょ肩を作らせ、投手交代を判断した。

 最後の最後でのまさかの失態。自分の詰めの甘さを悔やみ、マウンドでうな垂れる大隣に怒声が飛んだ。

「何回、同じことをやっとんじゃ!」。

 声の主はキャプテンを務めていた小久保裕紀内野手(現野球評論家)だった。

 「顔も見れないぐらい怖かった」。当時を思い出しながら大隣は振り返る。野手がマウンド上の2番手投手攝津の周囲に集まる中、小久保はマウンドを降り、うなだれながらベンチへと向かおうとした大隣に近寄ってきた。呼び止められ再度、論された。

 その時、かけられた言葉は一生忘れることができないものとなった。

 「自分がどういうピッチャーなのか考えろ。自分の投球を見つめ直せ。そうおっしゃってくれました。確かに当時の日本球界を代表する選手だったダルビッシュやマーくん(田中将大)のように自分はストレートで勝負できる投手ではない。それなのに自分はストレート勝負をしていた。考えさせられました。変れるキッカケとなりました」

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