朝倉未来・海、不良たちを成功に導いた前田日明が説く人生の本質、前田日明×大山峻護スペシャル対談1
「人生で一番大事なことは努力しないといけない時に努力できること」
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大山:僕はずっと柔道、総合格闘技とやってきて、引退して感じたのが、いかに自分が視野の狭い世界で生きてきたかということ。アスリートのセカンドキャリアで、視野の狭さって人生の狭さだなって思ったんですよね。引退後の選択肢が考えられなくなる。前田さんは視野が広いからUWF、リングス、アウトサイダー、今はYouTubeと次々に生み出していけますよね。
前田:でもそれは、プロレスから格闘技になって、その延長線上だよ。引退したら格闘技イベントやるしかないって思っていた。アウトサイダーに関しては、俺自身が遅い結婚をして子供ができて、その当時少年法の改正だのなんやかんや言われていた時だったから、世間への恩返しじゃないけど何かできないかなって。自分を振り返ってプロレスやっていなかったらどうなっていたんだろうって考えた時に、俺はラッキーだったなって思ったんだよね。飯食わせてもらえて、それでお金も稼げたから、人の道を外れることなく生きてくることができた。プロレスに救われたと感謝している。格闘技プロモーターの自分が出来る最善の恩返しは何かでやってたのがアウトサイダーだった。
大山:当時、アウトサイダーは本当に斬新でした。どういった経緯でスタートしたんですか?
前田:九州で、若いヤンチャな奴らのガス抜きのための大会をやっている人がいて、おもしろいことやっているからって誘われて見に行ったんだよ。第一試合なんて技術もないから根性だけで殴っているような試合だけど、メインイベントに至るまで全試合必死にやっているそれがおもしろかった。
大山:気持ちだけで戦っているのは、逆に心揺さぶられますね。
前田:上に行くと技術も出てきて、ちゃんと格闘技の試合として仕上がっている。しかも、リングに立つと全員パッと華がある。余計な計算も無く全人生、全人格をかけてこの勝負に勝つっていうような覚悟を感じられておもしろかったね。
大山:全身全霊をかけた試合、それを見た時に今のアウトサイダーをやろうとなったんですか?
前田:やりたいなとは思ったよ。だけど、応援団同志で大乱闘が始まったり、椅子が飛び交ったりして。これ東京でやって、会場を壊したり、けが人が出たりでもしたら、リングス名義で二度と会場を借りられなくなるなって思ったよね。だからちょっとできないなって思っていたけど、子供たちの将来のためにできることはないかなって考えると、俺にはやっぱりプロモーターの経験を生かして、不良少年の更生を目的とした大会をするしか無いと思った。でも正直、どうなるか怖いなって思いながら、恐る恐るやった大会だったね。
大山:前田さんのその英断によって救われた若者、人生が変わった選手はいっぱいいますよね。
前田:朝倉未来・海が出世頭って思われているけど、他にも自分でビジネスを始めて今じゃ年商何十億って選手もいるからね。
大山:アウトサイダーでみんな努力することを知っていくんですね。みんな覚悟も、負けん気も、ガッツもあります。
前田:人生で一番大事なのは、努力しないといけない時に努力できるっていうこと。アウトサイダーでみんなそれを覚えるんだよ。最初大会に来る時なんてみんな練習なんてしないで来るのが、だんだんレベルが高くなっていくと、ジムとかに通い出す。練習行くから夜の街に遊びに出なくなって、悪いこともしなくなる。だから親からいっぱい感謝されたよ。(朝倉)未来たちもそうだった。チャンピオンになった時に親が見にきていて、お父さんが俺の手を握ってきて、「前田さんのおかげです。前田さんがいなかったらこいつはどうなっていたかわかりません」って、俺の手を離さなかったよ。
大山:朝倉兄弟にしろ、カリスマ性があるなって感じます。やっぱり、前田さんの選手を見る目はすごいです。リングス時代も(アントニオ・ホドリゴ・)ノゲイラだったり、ダン・ヘンダーソンだったり、(エメリヤーエンコ・)ヒョードルだったりを発掘してきたじゃないですか。そういった選手に対して何を感じているんですか?
前田:細かくチェックしているわけじゃないけど、なんか強い選手ってわかるじゃん。独特の雰囲気がある。朝倉兄弟は2人とも試合でパンチ打っている姿が違ったね。普通はインパクトの時にパチンって手が跳ねるけど、朝倉兄弟はズボッズボッて入っていくし、えらくパンチ力もあった。体が全然ぶれなかったし、組んでもなかなか倒れなくて足腰も強かった。初戦から今まで見なかったような子が入ってきたなって思ったよ。
大山:前田さんの次の未来は、そういった選手の発掘とかに注力していく感じですか?
前田:どうだろうね。何でもやっていくうちに、やりたいことが出てくるからね。行き当たりばったりはダメって言う人もいるけど、人生の本質は行き当たりばったり。そんなもんだと思うよ。
対談後半は、前田さんが憂う日本や格闘技界の問題点を語る!
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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大山峻護(おおやま・しゅんご)
5歳で柔道を始め、全日本学生体重別選手権準優勝、世界学生選手権出場、全日本実業団個人選手権優勝という実績を持つ。2001年、プロの総合格闘家としてデビュー。同年、PRIDEに、2004年にはK-1・HERO‘Sにも参戦。2012年ロードFC初代ミドル級王座獲得。現在は、企業や学校を訪問し、トレーニング指導や講演活動を行なっている。著書に「科学的に証明された心が強くなる ストレッチ」(アスコム)。ビジネスマンのメンタルタフネスを高めていくための本「ビジネスエリートがやっているファイトネス~体と心を一気に整える方法~」(あさ出版)を出版。
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