RISE・伊藤会長が語る那須川天心VSメイウェザー戦の全貌
怒り狂い、怒りに震えていた
そんな中、当日は僕ら13時くらいに会場入りをして、用意をしていました。
その後、主催者側から許可を得たので、20時くらいからグローブを巻き出しました。
後から文句を言われるのも嫌だったので、念のためビデオもとっていました。
試合が22時半くらいからだったので、その後天心は試合へ向けてアップしていたんですが、メイウェザーが会場入りしてきたのが21時前だったんですね。
銀座で買い物をしているとか言って全然来なくて関係者がざわついていたんですが、急に控え室の一部が全部繋げられて、サーティーワンとケンタッキーが大量に運ばれてきたんです。
その後メイウェザーが2m超えの連れが30人ぐらい引き連れてやってきて・・・
まるで映画の世界でした。
その後、こちらはもうバンテージを巻いたということを伝えたら、ボディーガードみたいのが控え室に入ってきて、もう一回巻き直せと言われたんです。
事前に録っておいたビデオを見せようとしても見向きもせず・・・。
そこから30分くらい、僕らはもう巻き直さないと主張し、向こうは偉い人に電話して『この試合なくなってもいいって言ってるよ』とかいう言い合いが続きました。この時点で試合を断るべきだったかもしれない。
そうこうしているうちに榊原さんがきて、『巻き直してくれ』と言われたので、『分かった、片方だけ巻き直す』と言って巻き直しました。
ただ、その後、もう片方も巻き直せと言われて・・・。何を言っても聞かなかったので、結局両方巻き直しました。
天心はもう、怒り狂っていましたね。怒りで震えていました。
結局巻き直しに30分くらいかかりましたね。
ただこの間メイウェザーは別の部屋にいて既にバンテージも仕上がって、シャドーボクシングやっているんですよ。
そうこうしている間にルールMTGの時間になりました。
この時点でもう22時です。
そこで、足が外れてからのパンチはダメだとか、クラシックボクシングルールでダウンは無制限とかいうルールが試合直前に言われたんですよ。
これには流石に我々も天心も動揺していました。
ただもうやるしかないんでね。
一から仕切り直しでアップし、気持ちを作り直しましたが、なんせみんなイライラしているんでね。チームが乱されました。いつ誰が暴れてもおかしくない状況でしたね。
その流れで試合だったんで、集中する時間もなかったですし、気合いは入っているんですが、怒りに満ちている部分はあったんで、冷静ではなかったですね。怒りに満ちているとスタミナも切れてしまうので。セコンドはみんな睨んでいましたね。」
もう1回やれと言われたら、キックルール
肝心の試合ですが、我々は勝つ云々というよりは、メイウェザーってディフェンスが凄くて当たらないので、我々の目標としてやることは、「あいつを本気にさせる」こと。パンチを1、2発でも当てるということですね。天心はもちろん勝つ気でいたと思いますが、それもそうですし、僕らとしては、『当てたい、本気にさせたい』という思いがありましたね。
実際に、一発掠ってから、メイウェザーがムキになったのはありましたね。
僕はてっきり、パンチが当たらないように、避けまくるのかなと思いましたが、一発掠ったことによって危機感を感じたんでしょう。実際3発位は当たっています。
結局、こめかみとか、急所には当たってないんですよ。
けどやっぱり体重差もあって、吹っ飛ばされちゃいましたよね。
1Rはよろめいた程度だったんですが、2回目に倒れた時、タオルを投げようと思ったんです。ただ3回目は流石に我慢できなかったですね。
天心は本当にやる気だったんですが、こっちも選手を守らなければいけないので・・・。」
最後に伊藤会長は、メイウェザーとの再戦について、こう語った。
「もうないです。あんなに我儘な選手とは関わりたくないです、ただ選手だったら誰でもメイウェザーと戦いたいと思いますよ。」
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