幻のセンバツ出場予定チームが解体へ 最後のノックで涙・・・「いい景色だなあ。もうこれは甲子園だよな」
幻のセンバツ出場予定チームが一部「解体」された。
新型コロナウイルスの影響で第92回選抜高校野球(甲子園)が中止。聖地でのプレーはかなわなかった32校だが、メンバーは新学年で残り、夏の甲子園出場に目標を切り替えているチームがほとんどだろう。
だが磐城(福島)は指導体制が一変した。21世紀枠で、46年ぶりの甲子園出場に導いた木村保監督(49)が人事異動のため転任。チームを支えてきた部長、校長とともに3月いっぱいで学校を去った。新監督には、いわき光洋から赴任したOBの渡辺純氏(38)が就任した。
木村監督は4月から福島商に転任し、県高野連の事務局に入る。高野連には数年前から打診を受けていたため、センバツを監督生活の集大成とするはずだったが、夢は幻と消えた。
何とか夏まで指導延長できないか懇願したが・・・
くしくもセンバツ中止が決まったのは3・11。磐城の野球部員20人は小学1、2年のときに東日本大震災を経験し、県外への避難を余儀なくされた。昨年は大型台風の被害にもあった。天災、放射線、ウイルス…次々と襲いかかる脅威に「子どもたちにこれだけ苦しい思いをさせたまま、去ることはできない」。木村監督は何とか夏まで指導延長できないか懇願したが、辞令が変わるはずはない。
3月30日に同校グランドで、木村監督との最後の練習が行われた。センバツでお披露目するはずだった背番号入りユニホームを着てのシートノック。選手は一人一人、監督への感謝を言葉にして、ラストノックを受けた。