ヤ軍実況も感服したジャッジを翻弄した「芸術」 “MLB平均以下の球”で菅野智之が示した「野球界で失われる価値」

ヤンキース打線を見事に牛耳った菅野。その投球術は異彩を放った。(C)Getty Images
味のある投球術は強力打線を翻弄し、米球界をあ然とさせた。
現地時間4月28日に本拠地で行われたヤンキース戦にオリオールズの菅野智之が先発。5回(95球)を投げ、被安打5、8奪三振、無失点と締め、今季3勝目を挙げた。
【動画】ジャッジも翻弄!菅野はヤンキース打線に宝刀スプリットで空振りを奪っていく
直球と変化球を四方に投げ分け、ヤンキースのスラッガーたちをいなした。初回にいきなり二死満塁のピンチを迎えた菅野だったが、6番アンソニー・ボルピを遊ゴロに打ち取ってスコアボードに「0」を刻むと、そこから勢いに乗った。
巨人時代に見せていたクレバーな投球で投げ進める背番号19。最大のハイライトは、5回無死一塁の局面で迎えた敵打線のクリーンアップとのマッチアップだ。
まず、対峙したアーロン・ジャッジを膝元へのスプリットで空振り三振に切って取った菅野は、続くコディ・ベリンジャーを外角高めへの91.8マイル(約147.7キロ)の4シームで左飛に危なげなく仕留める。そして、ラストバッターのポール・ゴールドシュミットはボールゾーンに投じる高めの94.4マイル(約151.9キロ)の4シームで中飛とした。
まさに剛より柔――。この日の平均球速がメジャー平均より94マイル(約151.2キロ)も下回る86.3マイル(約138.3キロ)だった菅野の巧みな投球には、ヤンキースの地元メディアも感嘆とする。