帰ってきた“投げる科学者”バウアーをどう使う? DeNA首脳陣が模索する「中4ローテ計画」と「12球団初の運用法」

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2年前は球界を席巻する投球術で異彩を放ったバウアー。(C)産経新聞社

バウアーを組み込むための「3パターン」

 入来コーチが懸念したメンタル面は投手にとって重要なポイントだ。その点について他の首脳陣も同様の考えを示している。

 大原慎司一軍ピッチングチーフコーチは「ローテーションを崩したら調整は難しくなりますし、先発6枚が5枚になったら投げられないピッチャーが出てきて、メンタルがブレたりする可能性がある」と指摘。「それを考えて、そうならないようにする、または最小限にするために手を尽くしてやる以外ないですね。考え得ることをなるべく潰していくだけです」と先を読んで対処していきたいと目論んだ。

 もちろんバウアーを戦力として組み込んだ具体的なプランニングは進んでいる。小杉陽太一軍ピッチングコーチは「3パターンぐらいを考えてます」と自身の中で組んでいる“仮説”を明かしてくれた。

「短い間隔で、長いイニングを投げてくれるので、先発ピッチャーとしてAクラス。イニングを消化してくれるってのはすごいありがたいですよ。だって火曜日に投げて、日曜日にまた投げられるわけですよ。ただ、バウアーもずっと中4日でそもそも回り続けられるのかってところもありますよね。NPBの日程上、ずっと4日で回ることはできないじゃないですか。月曜日に絶対休みがあるし、週に4試合の時もあったりとかするので」

 バウアー自身のコンディションと米球界とのギャップを視野に入れる小杉コーチは「うまくずらしていきながら、他のピッチャーの間隔を縮める時が来る」と強調。中4日でローテーションを回すことで生じる懸念をポジティブに捉えた。

「例えば、東は2年連続で相当なイニングを投げていますしね。それと、まだちょっと間隔を空けないとフィジカル的になかなか難しい選手がいるので、そういう選手がうまく中4とか中5で回っていく人たちのスポットに入っていける。それはそれでいいのかな」

 当然ながら投手の負担を考えながらリスクマネージメントを管理する必要性は出てくる。それでも小杉コーチは「選手は難しいのかもしれないですけど、先にスケジュールを伝えておくなど、うまくコミュニケーションを取りながらやっていければ」と自信を示した。

 バウアーがシーズン途中で加入した2年前は、首脳陣を含めて“初体験”となったローテーションのやりくりに四苦八苦することも少なくなかった。しかし、ノウハウの蓄積がある今年はある程度の対策が練られている様子が伺える。

 今季のDeNAは、前出の先発4枚に加え、大貫晋一、平良拳太郎、伊勢大夢、石田健大、吉野光樹、小園健太、竹田祐と先発投手の駒は粒ぞろいだ。それだけに彼らを最大限に活用するマネージメントが、悲願のリーグ優勝のポイントのひとつとなる。

[取材・文/萩原孝弘]

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